子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。

759.マーゴット達以外の4人は、切り取られた空間の中でずっと静か。スラッルス・トークンは、自称父の存在に戸惑っていた。

マーゴット達は、元気にお喋りしているけれど、マーゴットが連れてきた捕虜とスラッルス・トークンの自称父は、静かだ。

ニンデリー王立学園の学生の母2人。

1日教授であるニンデリー王国の貴族の助手として執事のようにしていた青年。

1日教授であるニンデリー王国の貴族に関係がある3人とスラッルス・トークンの自称父は、魔導具で切り取られた空間に入ってから、何も喋らない。

スラッルス・トークンの自称父は、スラッルス・トークンから離れまいと、スラッルス・トークンとの距離を詰めてきていて、父の記憶がないスラッルス・トークンは困惑している。

父と名乗る存在と、どんな風に接したらいいのか。

前世も今世も父というものに縁が薄かったスラッルス・トークンには、さっぱり分からない。

スラッルス・トークンが経験のある親父や兄貴との接し方は、裏社会の組織のもの。

一つ家庭の中にいる父親像というものは、スラッルス・トークンにとって、未知の存在。

俺は、自称父という人とどうしたらいいんだろう？

本当に、俺の父なのかな？

俺を騙しにきたわけじゃないのかな？

今まで、死んだことになっていたのは、なんでかな？

どうして、今まで、父と名乗り出てこなかったのかな？

スラッルス・トークンの頭の中は、疑問がぐるぐる。

でも、どの疑問をぶつけていいのかさえ、分からないスラッルス・トークンは、無言を貫いていた。

マーゴットは、勝手するな、と俺に言っていたから、と自分自身に言い訳をしながら。

マーゴットの捕虜3人は、3人とも、憂鬱そうにしている。

終点が、よほど行きたくない場所なのだろう。

魔法立国をうたっているニンデリー王国の建国の祖である初代国王の肝入で、建国から間を置かずに建設が開始しているニンデリー王立学園。

ニンデリー王立学園は、創立当初から、創立者であるニンデリー王国の初代国王の方針で、魔法と魔法に関係する研究に注力してきた。

魔法立国をうたう王国の王立学園の敷地内に、創立時から、その場の魔力の総量が一定以上であることを検知したら、その場にいる全員を地下に引きずり込む魔導具が設置されているなど、不穏さしか感じない。

「この先には、ニンデリー王国が建国されたときに隠されたものがある。」
とマーゴット。

ニンデリー王国建国時に使われていた魔導具が、学園の敷地内の何でもない場所に設置されていたのは、誰かが意図して、そこに設置したから。

「各自、戦闘態勢に入りなさい。
スラッルス・トークンの自称父も、捕虜3人も。」
とマーゴット。

マーゴットは、捕虜3人の拘束を解き、捕虜3人に言い渡した。

「生きて帰る気があるなら、わたし達の足を引っ張らないようにしなさい。」