子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。

737.マーゴットは、鉄扇を出した。キャスリーヌの魔導具が反応する。ハーマルは、投げつけられたものが何か分かった。

マーゴットは、ハーメリー・ジョンストンの父など相手にしない。

「学生の発表はまだ？」
と1日教授に尋ねるマーゴット。

「私の言うことを聞け。」
とハーメリー・ジョンストンの父。

「教授の授業には見るべきものがないようだから、わたし達は引き上げる。」
とマーゴット。

「待て。」
と声をあげたのは、ハーメリー・ジョンストンの父ではなかった。

貴族の学生の父が、声をあげた。

「用事があるなら、先触れを寄越して、会ってほしいと伺いにくるところから始めろ。」
とハーマル。

通常のテンションで煽りに煽るガラン家の兄妹。

マーゴットとハーマルが通常のテンションなのは、本気でそう考えているから。

キャスリーヌも、マーゴットとハーマルと同じ思考タイプなので、煽りに煽っているガラン家の兄妹に何も思わない。

レベッカ・ショアは、貴族の立ち居振る舞いは、本来、こういうものだったのかもしれない、と思った。

成人していないバネッサが、大人の社交に出ることはなかったので、バネッサの一番よく知る大人は、両親と兄だった。

私の家とは全然違う。

家族に不信感を抱いたバネッサは、意識せずに周りの大人を観察していた。

ベリーベリー・イニーは、貴族同士の喧嘩は、最初から強気で攻めるんだ、と学習している。

スラッルス・トークンは、マーゴットのお兄さんは、マーゴットと息ぴったり、と思っていた。

「引き上げる。」
とマーゴットが言って、キャスリーヌに合図した。

キャスリーヌは、バネッサとレベッカ・ショアの手を繋いだまま、180°の方向転換。

ベリーベリー・イニーとスラッルス・トークンも、続いて方向転換。

マーゴットとハーマルも方向転換しようとしたところ。

槍のような攻撃魔法が飛んできた。

マーゴットは、鉄扇で弾き返す。

「きゃあ。」
と悲鳴をあげたのは、貴族の学生の母。

貴族の学生の母は、槍にスカートを貫かれて、地面に食い止められている。

マーゴットとハーマルに攻撃魔法を使ってきたのは、貴族の学生の母のようだ。

マーゴットは、キャスリーヌに進むように指示を出す。

マーゴットとハーマルも、方向転換して、ベリーベリー・イニーとスラッルス・トークンの後を追った。

「何をしているのよ！
ぼうっとしていたら逃げられるわよ。」
と平民の学生の母。

平民の学生の母は、何かを投げつけてくる。

キャスリーヌの持っている魔導具が、バチン、と反応した。

投げつけられたものはグシャンと壊れて、破片になる。

壊れて地に散らばった破片を見ると、投げつけてきたのは、魔導具だったようだ。

ハーマルは、破片を見て、思い当たるものがあった。

「拘束系の魔導具を投げつけてきたね。」
とハーマル。

敵は、マーゴット達を逃がす気がないらしい。

ならば、叩き潰すまで。