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第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。

723.レベッカ・ショア。もしかしたら、家族が来ているかな?と期待して、探してみる。

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レベッカ・ショアは、キャスリーヌの隣でキョロキョロしていた。

私の家族、いないかな?

今日の学園は、見知らぬ大人がたくさんいるから。

少しばかり期待してしまう。

マーゴットとキャスリーヌから、母国にいたときのレベッカ・ショアの前世の意識に引きずられた言動は、異端そのものだったと知らされたレベッカ・ショア。

レベッカ・ショアの家族は、レベッカ・ショアの前世の意識による言動に振り回され、負わなくてもよい負担を抱えてしまった。

ニンデリー王立学園に入学してからもレベッカ・ショアは、侍女に依存していた。

侍女がいなくなって、マーゴット、キャスリーヌ、バネッサと出会い、レベッカ・ショアは、自身を振り返ったり、周りを見ることが出来るようになった。

同い年の学生と出会い、知らないことを知り、気持ちや意見をぶつけ合って、レベッカ・ショアは、自分の居場所を作った。

今のレベッカ・ショアは、侍女から離れても平気だ。

自分の足だけで立っている。

自分の足で、歩きたいところへ歩いていける。

前世の意識は、レベッカ・ショアが今世で生きていくために、と眠りについた。

今になって。

いや、今だから。

レベッカ・ショアは、ニンデリー王立学園に入る前に、自身の言動の異端さに気づけていたら、と思わない日はない。

レベッカ・ショアの家族は、レベッカ・ショアに愛情を示していた。

離れてみて、痛いほど、家族の愛情を感じている。

レベッカ・ショアの家族は、異端な振る舞いを直そうとせず、己の異端さを理解しようともしない娘を家族の外に出そうとしなかった。

外国の寄宿学校に入学させてくれた。

キャスリーヌに聞いた、貴族令嬢に侍女をつけて留学させる費用は、決して安いものではなかった。

レベッカ・ショアの家にとって、負担にならない金額だったかどうかまで、家に関心がなかったレベッカ・ショアは分からない。

家族のことも家のことも、何も知ろうとしなかったレベッカ・ショア。

母国で禁忌とされた魔法について取り憑かれたように興味を示していたレベッカ・ショアは、自身の疑問が解消されないことばかり気にして、周りを見てこなかった。

レベッカ・ショアを大事にしてくれていた家族に、レベッカ・ショアは愛情を示してこなかった。

今、それが悔やまれてならない。

レベッカ・ショアは、ニンデリー王立学園を卒業したら、家や家族と大っぴらに会うことはなくなる。

魔法が禁忌とされる母国は、魔法を使いこなすようになったレベッカ・ショアの帰る場所ではなくなった。

レベッカ・ショアは、一時帰国することさえ難しい。

だから。

家族から、ニンデリー王立学園に会いに来てくれたら、とレベッカ・ショアは期待していた。

保護者参観日に、レベッカ・ショアの家族の姿はない。

家族がニンデリー王立学園に来れない事情を、レベッカ・ショアは理解している。

魔法を禁忌とする母国の貴族であるショア家が、魔法大国ニンデリー王国にいる魔法に取り憑かれた異端の子どもに会いにくることの困難さ。

レベッカ・ショアの家は、異端のレベッカ・ショアがいたことで国に警戒されている、とマーゴットとキャスリーヌから聞かされている。

大丈夫。

来てくれないことは、想定の範囲内だから。

レベッカ・ショアは、込み上げてくる寂しさを胸の内にとどめた。
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