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第9章 2年目のニンデリー王立学園での生活は、波乱含みの授業参観から。

720.スラッルス・トークン。トークン家に生まれて。スラッルス・トークンの母親は、数百年続く名門貴族の娘?

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スラッルス・トークンは、これまでの毎日を思い返す。

スラッルス・トークンは、1日中、修行や教育で終わっていた。

ひるがえって。

次代に選ばれた従兄弟は、どうだった?

スラッルス・トークンほど、修行のスケジュールがぎゅうぎゅう詰めじゃなかった。
 
従兄弟は、スラッルス・トークンが知る限り、家族と交流する時間が十分とれるくらいの修行で、跡継ぎとして認められた。

スラッルス・トークンの口の中に、苦いものがこみ上げてきた。

俺が毎日修行して、それでもダメだったのは、生まれたときに差をつけられていて、その差は生まれてからの努力では追いつけないものだったから?

そうだというのなら。

スラッルス・トークンが過ごしてきたこれまでに、一体何の意味があったのだろうか。

トークン家の子どもとして、スラッルス・トークンは見捨てられてはいなかった。

期待されていたから、当主になるための修行が日課になっていた。

でも。

もし。

スラッルス・トークンの生母が、魔力に雑味のない人だったら?

スラッルス・トークンは、修行まみれの日々の果てに跡継ぎではないという烙印を押されて、周りから見放される羽目に陥っていただろうか?

「この子が跡継ぎになれなかったのは、私の魔力のせいだと言うの?

私から赤ちゃんを奪っておきながら。

私が赤ちゃんを連れてこの家を出ていくのをトークン家が邪魔しなければ、トークン家の当主なんか、関係なく育てられたのに?

何度も言うけど!

私は、トークン家の当主の母になるために彼と結婚したわけじゃない!

私と彼は、新しい命と一緒に3人で生きていこうとしていた!

私と彼が、トークン家から出ていくのを邪魔したのは、トークン家じゃない!

でたらめを吹き込まないで!」
と母親。

「スラッルス様の生母は、いくつになっても、トークン家の子どもを授かることの意味が理解できないのです。」
と執事。

「トークン家以外なら、お母さんの言うような暮らしはあり得た?」
とスラッルス・トークン。

「貴族と結婚しなければ叶えられます。

スラッルス様の生母の家は、生母が貴族と結婚することを想定していませんでした。」
と執事。

「俺のお父さんは貴族だけど、お母さんは、貴族じゃない?」
とスラッルス・トークン。

「貴族よ!私は貴族!

私は、何百年も続く名門の家の娘よ!」
と母親。

「生母がスラッルス様を連れ去ろうとした先が、生母の実家でした。

犯罪者として生母の幽閉が決まったタイミングで、お取り潰しになっています。

生母は、貴族ではありません。」
と執事。

「うちが、なくなった?」
と生母。

スラッルス・トークンは、母親の顔色が青くなったり赤くなったりするのを見て察した。

幽閉されていたお母さんは、何年もの間、外部の情報を知らされていない。
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