子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

689.裏切り者として生きるトレメイヤ王国民の覚悟が決まるとき。

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「使者の作法は、別室で指導があるから、出発までに心ゆくまで習得しておくことですよー。

使者のていをなさないと、みなせば、トレメイヤ王国入りする前に、棺に入ることになりますからねー。」
とガラン領民。

「運ぶのが、生きた人か、棺に入った遺体か、の違いしかない、と言いたいのか?」
とトレメイヤ王国民の紳士。

「今回は、だいぶ、違いませんかねー。

姫君の新しい部下が棺を運びたいのなら、棺を運ぶ使者ですねー。

棺を運びつつも、使者のていを崩さないようにきをつけることですよ?

使者のていをなしていない人が増えると、棺の運び手が減りますからねー?」
とガラン領民。

総数は変わらないのに、棺に入る人が増えれば、棺を運ぶ人数は減る、とガラン領民は話した。

ガラン領民の台詞に、トレメイヤ王国民の紳士は、自身の誤解に気づく。

「棺に入れる、と。」
と言いかけたトレメイヤ王国民の紳士は、はっとして言葉を切った。

ガラン領民は、棺に入れる、としか話していない。

棺を運ぶとは、言っていない。

ガラン領民は、トレメイヤ王国民を棺におさめる気はあっても、トレメイヤ王国民がおさまっている棺を運ぶことは想定していない。

棺を運ぶとすれば、同じトレメイヤ王国民。

トレメイヤ王国民は、生き延びるために、共に裏切り者の道を選んだ仲間の遺体を祖国へ運び、祖国への使者として、元の仲間の前に立つことになる。

それは、どんな地獄よりも針の筵(むしろ)だ。

「私達は、全員で、無事に帰還する。」
とトレメイヤ王国民の紳士。

「良い心掛けですねー。

では、姫君と私は、ここから別室へ移動します。

使者としての役割や立ち居振る舞いを学んで、姫君の新しい部下として勤めに励んできてください。」
とガラン領民。

部屋の中には、さらに別のガラン領民が5人、入ってきた。

「行き先によって、やることが違うので、行き先別に分かれて、部屋の端と端で、同時に、別々に教える。」
と新しく入ってきたガラン領民の1人がどんどん仕切っていく。

マーゴットとガラン領民は、使者についての教育係にトレメイヤ王国民を任せて部屋を出る。

「マーゴット様。
現状について、情報を整理された方がよろしいかと存じます。

お伝えしておく必要があることもいくつか。」
とガラン領民。

マーゴットは、頷いた。

「今のニンデリー王国の現状をお父様とお兄様がどの程度把握されておいでか、わたしも確認しておきたい。」
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