子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
671 / 800
第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

670. 貴族の屋敷の外からマーゴットに向かって大きく手を振っているのは?

しおりを挟む
マーゴットは、ベリーベリー・イニーと手を繋ぎ、使用人もどきとナンシー・ボーンの母を従えて、貴族が拘束されている部屋に戻ってきた。

マーゴットが部屋に入ると。

貴族を拘束しているトレメイヤ王国民が、窓の外に注目してくれ、とマーゴットに視線を寄越してきた。

マーゴットとベリーベリー・イニーは、揃って、窓の外を見る。

拘束されている貴族の後ろにある窓から、マーゴットに向かって大きく手を振る人物が見えた。

その人物は、マーゴットの姿を認めると、ほっとした表情になり。

「開けて、入れて。」
と口パクしながら、ジェスチャーを始めた。

トレメイヤ王国民によって閉ざされた屋敷を開放し、自分達を中に入れるようにと、マーゴットに訴えているその人物は。

マーゴットの3番目の兄ハーマル。

アレックスを確保して引っ立てたハーマルは、妹のマーゴットが心配になって、戻ってきたのだ。

可愛い妹の身に何かあったら大変だとハーマルは考えている。

マーゴットは、しっかりしているけれど、まだ大人じゃない。

可愛い妹が危ない目にあう前にこそ、大人であり、兄であるハーマルが動かなくてどうする?

ハーマルは、兄として、危険人物になりそうな者のところから、可及的速やかにマーゴットを脱出させることにした。

マーゴットが機嫌よく脱出できるように、マーゴットの困りごとを作っている原因の解決を急ごうとハーマルは思った。

妹のために時間を使いたいハーマルは、バネッサの兄アレックスに対して、容赦しなかった。

アレックスが伯爵家子息だということを忘れているのではないか、というくらいに、ハーマルは容赦なかった。

アレックスへの聞き取りが済んだハーマルは、マーゴットが目的地にしていた貴族の屋敷を目指した。

貴族の屋敷に着いてみると、マーゴットが捕まえていたトレメイヤ王国民が、屋敷を閉ざしている。

屋敷の敷地内にいたトレメイヤ王国民の3人のうち、ハーマルの顔を覚えていたトレメイヤ王国民がいたのは、幸いだった。

ハーマルに屋敷を閉ざしている理由を聞かれたトレメイヤ王国民は、模範的回答に終始し、ハーマルの怒りを買うことはしなかった。

「新しいボスに聞いてくれ。
新しいボスと話をして、ボスがいいなら、そのようにする。」

マーゴットはどこにいる、と、外から窓を通して探していたハーマル。

ハーマルが探しているタイミングで部屋に戻ってきたマーゴット。

ハーマルは、ほっとすると同時に、盛大に妹を見つけた喜びを表現していた。

マーゴットは、3番目の兄ハーマルの望みを叶えることにした。

マーゴットは、屋敷の外で屋敷を閉ざしているトレメイヤ王国民に、屋敷の閉鎖の解除を命じた。

ベリーベリー・イニーと手を繋いで、使用人もどきとナンシー・ボーンの母を従えたマーゴットは、建物から出て、庭を歩く。

マーゴットが建物から出てきたのを認めたハーマルは、何度も小さく手を振っていた。

「今からは、大人の時間。」
とハーマル。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

思わず呆れる婚約破棄

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。 だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。 余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。 ……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。 よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

処理中です...