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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
665.ドレマンの民は、ニンデリー王国の国民になりたくなかった。『私達の住んでいた土地を魔法で変えて、住んでもいいとは傲慢な軟弱者め。』
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使用人もどきは、マーゴットの命令に、驚かなかった。
一方、ナンシー・ボーンの母は、今までとは違う怒り方をした。
「ああ、ほら、やっぱり、王侯貴族というものは、私達を厭う。
私達は、王国なんてものに組み込まれるべきではなかった。
貴族とか、王国というのは、信用ならない。
私達は、反対だった。
私達が暮らしている土地を勝手に変えたくせに、住んでもいいなどと、傲慢な者ども。
いつかは、私達を滅ぼしにくると知っていた。
私達を恐れた横暴で傲慢な軟弱者め。」
とナンシー・ボーンの母。
マーゴットは、ナンシー・ボーンの母のうねりを理解した。
個人の感情よりももっと奥深くにある不信感と怒りは、ドレマンの民に脈々と受け継がれてきた。
ニンデリー王国は、ドレマンの民が住んでいた土地を含めて、新しく国を作った。
ドレマンの民は、ニンデリー王国民になることを望んでいなかった。
ニンデリー王国の初代の国王が、ドレマンの代表を貴族に取り立てた、というニンデリー王国内におけるドレマンの民の歴史の始まりは、ドレマンの民にとって不本意なものだった。
ドレマンの民にとってのニンデリー王国の初代国王は、後からやってきて、ドレマンの民が望まぬ服従を強いた征服者に他ならない。
ニンデリー王国が記録する歴史は、征服者の視点で書かれている。
征服されたドレマンの民は、歴史を語る機会を持たなかった。
その理由は、ニンデリー王国の歴史が記録していない部分にある。
ニンデリー王国の初代国王は、既にドレマンの民が住んでいる土地に、これからもドレマンの民が住んでもいい、と言ったという出来事に記録されていない歴史をドレマンの民は受け継いでいる。
マーゴットは、納得した。
ドレマンの民が、貴族に対して、敬意を払わないのは、ニンデリー王国に対する不服従の姿勢を貫いてきたからだ。
マーゴットは、シグル・ドレマンとドレマン家、ドレマンの民について考える。
ドレマンの本家、シグル・ドレマンを軽んじて、分家に力をつけさせて、分家に発奮させて、本家と分家を入れ替えさせたこと。
この件には、ニンデリー王国の王太子殿下が少なからず関わっているが、王太子殿下主導ではない。
ドレマン家の分家は、本家を追い落としたものの、貴族社会で確たる地位を築くのに、失敗。
ドレマンの民を犯罪者として捕らえた他家の貴族に対し、なすすべがないドレマン家は、凋落の一途を辿るだろう。
王太子は、自らの手足となるドレマン家の分家の弱体化に邁進しない。
王太子にドレマン家を勧め、ドレマン家の分家をそそのかし、ドレマン家の分家が本家を追い出すという、ドレマン家の御家騒動を利用して、ドレマン家とドレマンの民をニンデリー王国から消し去ろうとした者がいる。
その者は、おそらくニンデリー王国の王侯貴族。
ニンデリー王国は、初代国王がしなかった、もしくはできなかった永年の悲願を達成しようとしているのかもしれない。
一方、ナンシー・ボーンの母は、今までとは違う怒り方をした。
「ああ、ほら、やっぱり、王侯貴族というものは、私達を厭う。
私達は、王国なんてものに組み込まれるべきではなかった。
貴族とか、王国というのは、信用ならない。
私達は、反対だった。
私達が暮らしている土地を勝手に変えたくせに、住んでもいいなどと、傲慢な者ども。
いつかは、私達を滅ぼしにくると知っていた。
私達を恐れた横暴で傲慢な軟弱者め。」
とナンシー・ボーンの母。
マーゴットは、ナンシー・ボーンの母のうねりを理解した。
個人の感情よりももっと奥深くにある不信感と怒りは、ドレマンの民に脈々と受け継がれてきた。
ニンデリー王国は、ドレマンの民が住んでいた土地を含めて、新しく国を作った。
ドレマンの民は、ニンデリー王国民になることを望んでいなかった。
ニンデリー王国の初代の国王が、ドレマンの代表を貴族に取り立てた、というニンデリー王国内におけるドレマンの民の歴史の始まりは、ドレマンの民にとって不本意なものだった。
ドレマンの民にとってのニンデリー王国の初代国王は、後からやってきて、ドレマンの民が望まぬ服従を強いた征服者に他ならない。
ニンデリー王国が記録する歴史は、征服者の視点で書かれている。
征服されたドレマンの民は、歴史を語る機会を持たなかった。
その理由は、ニンデリー王国の歴史が記録していない部分にある。
ニンデリー王国の初代国王は、既にドレマンの民が住んでいる土地に、これからもドレマンの民が住んでもいい、と言ったという出来事に記録されていない歴史をドレマンの民は受け継いでいる。
マーゴットは、納得した。
ドレマンの民が、貴族に対して、敬意を払わないのは、ニンデリー王国に対する不服従の姿勢を貫いてきたからだ。
マーゴットは、シグル・ドレマンとドレマン家、ドレマンの民について考える。
ドレマンの本家、シグル・ドレマンを軽んじて、分家に力をつけさせて、分家に発奮させて、本家と分家を入れ替えさせたこと。
この件には、ニンデリー王国の王太子殿下が少なからず関わっているが、王太子殿下主導ではない。
ドレマン家の分家は、本家を追い落としたものの、貴族社会で確たる地位を築くのに、失敗。
ドレマンの民を犯罪者として捕らえた他家の貴族に対し、なすすべがないドレマン家は、凋落の一途を辿るだろう。
王太子は、自らの手足となるドレマン家の分家の弱体化に邁進しない。
王太子にドレマン家を勧め、ドレマン家の分家をそそのかし、ドレマン家の分家が本家を追い出すという、ドレマン家の御家騒動を利用して、ドレマン家とドレマンの民をニンデリー王国から消し去ろうとした者がいる。
その者は、おそらくニンデリー王国の王侯貴族。
ニンデリー王国は、初代国王がしなかった、もしくはできなかった永年の悲願を達成しようとしているのかもしれない。
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