子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

661.マーゴットは、ベリーベリー・イニーの母を襲ったナンシー・ボーンの家族の唯一の生き残りである母に希望を与えない。

マーゴットから逃げそびれた使用人もどきは、しぶしぶ、その場にとどまった。

どこぞの偉い人じゃなく、暗黒街のボスの愛娘かよ！
と使用人もどきは、心の中で叫んでいる。

暗黒街のボスの愛娘が、昼日中の貴族の屋敷に乗り込んでくるなんて、想像できるか？

完全に見誤った、と悔しがる使用人もどき。

マーゴットは、使用人もどきが、悔しがろうが、気にしない。

元から、使用人もどきは、使用人に擬態しているだけで、使用人もどきの本職は別だと、マーゴットは気づいている。

本職が別にある使用人もどきは、脅されることに耐性があり、脅された場合にも、冷静さを失わない。

命の危機を明白に感じ取らせたなら、最適解を最速で導き出せる。

マーゴットが、使用人もどきに容赦なく刃物を突きつけたのは、使用人もどきをマーゴットの指示通りに動く人手として使いたかったから。

マーゴットは、屋敷の制圧に動いたトレメイン王国民を、今の配置から動かしたくない。

新しくマーゴットの手足になる者として、使用人もどきは、過不足なくマーゴットの欲求に答えるだろう。

人を使う側として、使える人材の見極めは、大事。

使用人もどきを使うことに不満はない。

ナンシー・ボーンの母は、階段を上りきった。

マーゴットの姿を見つけたナンシー・ボーンの母の第一声を聞いて、使用人もどきは、関わりたくなさすぎると思った。

「私は、家に帰るよ！
私のご近所さんを早く牢屋から出して。」
とナンシー・ボーンの母。

マーゴットは、ナンシー・ボーンの母の言う事に耳を貸さない。

「ナンシー・ボーンの父と弟は、何をしていた？」
とマーゴット。

「2人とも死んでいたんだよ！詳しくは、この人が知っている！」
とナンシー・ボーンの母は、使用人もどきを指さした。

「使用人は、ナンシー・ボーンの父と弟が屋敷に来てから、何が起きていたかを説明できるほど知っている？」
マーゴットは、使用人もどきに確認する。

「その人が、実験に使われて死んだ、と言ったんだからね！」
とナンシー・ボーンの母。

「使用人に話を聞く。ナンシー・ボーンの母に聞くことはなくなった。
ナンシー・ボーンの母は、牢屋に戻りなさい。」
とマーゴット。

「私の夫と息子を殺した家の牢屋に私を戻すなんて、なんて思いやりと優しさがないの！」
とナンシー・ボーンの母。

「わたしの部下の家を襲撃し、部下の家族に重傷を負わせた者が、思いやりと優しさを求めるならば、わたしは与えない。」
とマーゴット。

ナンシー・ボーンの家族がベリーベリー・イニーの母に重傷を負わせたから、マーゴットは、ナンシー・ボーンの家族を助けないと言っているんだ、と気づいたベリーベリー・イニーは、ほっとした。