子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

645.屋敷の主人は、マーゴット達を捕まえることを希望した。『わたしに遅れをとらないような働きを見せなさい』とマーゴット。

マーゴットと屋敷の主人の側近の静かな対決は続いている。

「わたしは、わたしの意にそわない言動を慎むようにそちらに求めた。

わたしの意にそわない言動をすることが、そちらの利益に繋がることはない。」
とマーゴット。

「お嬢様の言う通りにした方がいいぞ？」
とトレメイヤ王国民。

「お嬢様が、こうも分かりやすく教えてくださっているんだから、実践しない手はない。」
と、トレメイヤ王国民は、自身の経験から得た認識を屋敷の主人に助言の形で伝えている。

しかし。
残念なことに。

マーゴットとトレメイヤ王国民のやり取りを知らない屋敷の主人には、トレメイヤ王国民の経験からくる助言は、助言に聞こえなかった。

「こいつらを捕らえよ！」
と屋敷の主人。

屋敷の主人は、拘束されたままだったが、屋根裏で人が動いた。

「わたしに遅れをとらないような働きを見せなさい。」
とマーゴットはトレメイヤ王国民に告げた。

屋根裏からの攻撃を躱し、ベリーベリー・イニーと手を繋いだまま、一足飛びに屋敷の主人元へ到着するマーゴット。

拘束されている全員の即死しない箇所に狙いを定めて、魔法で浮かせたナイフ当てている。

屋敷の主人の救出を難なく阻止したマーゴット。

「やだー。お嬢様が強すぎて、俺達の存在がかすみそう。」
と嘆くトレメイヤ王国民は、屋根裏に乗り込んでいく。

「いいところを見せる前に、一番いいところをお嬢様がかっさらっていったよ、どうする？」
と、部屋の入口からの入ろうとしてくる屋敷の主人の部下を片付けていくトレメイヤ王国民。

「お嬢様に見合うだけの部下じゃないとダメだと思う。」
とマーゴットの近くにいるトレメイヤ王国民は、屋敷の主人達の拘束をギチギチにキツくしていく。

マーゴットの俊敏さを目の前で見ていたトレメイヤ王国民は、万が一にもマーゴットに逆らってはいけないと本能で理解した。

もし、この場をトレメイヤ王国民が占拠しておらず、ベリーベリー・イニーと手を繋いだマーゴットだけであったとしても。

マーゴットは、屋敷を支配下におくのに苦労しなかっただろう。

屋敷の主人の誘いに乗り、トレメイヤ王国民が、マーゴットを裏切り、屋敷の主人側に回っていても、マーゴットの圧勝は約束されていた。

マーゴットは、自身が攻撃されることへの対応ではなく、人質を奪回されないことを最優先に動いた。

先を見据えて動けるのだ。

突然の攻撃にもかかわらず、マーゴットは、とっさに防御する行動を一切とらなかった。

攻撃は、躱しただけで、かすり傷一つ負っていない。

トレメイヤ王国民は、思った。
『新しい主人は、既に大物だ。』