子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

636.ニンデリー王国の貴族のお屋敷の門番は、困っている。下見を終えた少女の手下が強そうだ。

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マーゴットに捕まっているトレメイヤ王国の民が、全員で冷静に生き残り方を検討していたのは、国の外で工作するうちに、自国や他国の色々を知ってしまったから。

トレメイヤ王国に帰って、扱いが悪くなり、生存が危ぶまれる生活をするより、少女の手下になる方が、自分達の未来が拓けている、とトレメイヤ王国民は判断した。

今のところ、どの面下げて帰ってきた、と、石を投げられる生活は回避できた、と安心していた。


隣にいるマーゴットの台詞を聞きながら、貴族は、命令し慣れているんだ、とベリーベリー・イニーは思った。


マーゴットの台詞を聞いた屋敷の門番は、表情は変えていないものの、これが貴族のご令嬢なんて嘘だろ!と心の中で叫んでいた。

下見に来た後、手下を連れてきた挙げ句、手下に死にたくなかったら、貴族の屋敷の門を破って、中を見てこいというお嬢様が、世の中にいるだろうか?

門番は、思った。

お嬢様は、お嬢様でも、どこかの喧嘩っ早い国の隠れた大物の秘蔵っ子じゃないのか?と。

門番は、誰も通すなと上司から命令されている。

門番は、職務に忠実だ。

上司に念押しされるまでもなく、誰も通すつもりはなかった。

だけど。

それは、入れてくれ、と訪ねてくる客に限った話。

手下に、死にたくなかったら、逆らうな、と言う少女と、逆らう気がない手下を見たとき。

到底、止められない、クビになると、門番は悟りを開いた。

少女も手下も、只者じゃない雰囲気をプンプン匂わしている。

密かに魔法を使って、少女と手下を追い払おうと考えた門番は、いつでも、魔法は使える状態になっていた。

でも、魔法を発動することを本能が拒否した。

魔法を発動した瞬間に倒される予感がした。

門番の予感は、あまり外れない。

門番は、この予感を気の所為で済ませなかった。

門番は、門扉の中に等間隔にいる警備に、警告する。

「魔法を使うと、より危険だ!」
と門番。

魔法を発動しようとしていた警備の男は、発動を止めた。

「魔法を使っても、塀を越えてくる!」
と門番。

「門番、優秀。」
門番の警告を聞いていた、マーゴットの後ろにいるトレメイヤ王国民は、感心している。

「しょせん、私達の敵じゃない。」

「お嬢様、いつ、行くんでしょう?」
とマーゴットに尋ねるトレメイヤ王国民は、布人間レーイーエール・サバンナパークと違い、順応性の塊だった。

「ナンシー・ボーンの母を探して、屋敷の中をくまなく調べて回り、屋敷にあるものは、人も含めて、隠さずわたしに報告しなさい。」
とマーゴット。

「合図は、お嬢様が出しますよね?」
とトレメイヤ王国民。

労働を提供するからには、見返りを。

作戦の責任まで、取らされては、かなわない。

「わたしは、手下に責任を押し付けて逃げたりはしない。
ただし、仕事ができない手下は切り捨てる。

覚悟が決まらないなら、先に切り捨てる。

この場で、今、前に出なさい。」
とマーゴット。

「お嬢様は、私達の仕事の成果を見て、吠え面をかくことがないようにしてください。」
とマーゴットに好戦的になるトレメイヤ王国民。

マーゴットは、返事をしなかった。

「突入せよ。」
とマーゴット。
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