子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

614.『マーゴット。どこへ向かっているの?』ナンシー・ボーンの母が、駆け込んだ貴族の家?平民が貴族の家に駆け込んだの?

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マーゴットは、後始末をまるっと、3番目の兄のハーマルをはじめとする、コーハ王国の外交部に任せた。

キャスリーヌ、バネッサ、レベッカ・ショア、ベリーベリー・イニーを連れたマーゴットは、ナンシー・ボーンの家の前から歩いて移動している。

バネッサは、歩いていく方向が、ニンデリー王立学園の学生寮ではない、と気づいた。

「マーゴット。どこに向かっているの?」
とバネッサ。

「ナンシー・ボーンの母が駆け込んだ貴族の家。」
とマーゴット。

「家から出ていったと思ったら、貴族の家に?」
と不思議そうにしているレベッカ・ショア。

「ベリーベリー。ニンデリー王国は、平民が、貴族の家に押しかけても、入れてもらえるの?」

レベッカ・ショアは、ベリーベリー・イニーに聞いている。

「あたしはしたことがないから、なんとも言えない。」
とベリーベリー・イニー。

「したことがなくて、ベリーベリーは、正解だったわよ。」
とバネッサ。

「悪い貴族にベリーベリーが利用されないで済んだから?」
とレベッカ・ショア。

「ニンデリー王国の貴族と平民の距離感を他の国の貴族に応用することだけはしてはいけないわ。

無礼討ちの覚悟がないなら。」
とバネッサ。

頭をひねっていたレベッカ・ショアは、答えにたどり着いた。

「ひょっとして、不敬罪にあたるから?」
とレベッカ・ショア。

「ひょっとしなくても、不敬罪よ。

ニンデリー王国で1年過ごしてみて気づいたわ。

ニンデリー王国の平民は、街にいる平民も、ニンデリー王立学園にいる平民も、貴族に対して、敬意を示しているように見えない。」
とバネッサ。

「そうだったんだね。
私は、周りを見ていなかったかも。」
とレベッカ・ショア。

「学内で、学生と接する場合だけでなく、学外でのあれこれも考え合わせると。

学び舎にいるから、という言い訳が通用しないほどよ。」
とバネッサ。

レベッカ・ショアは、バネッサの言うあれこれを思い出そうとして、気づいた。

「私、平民と貴族のあるべき接し方の正解を知らないと思う。」
とレベッカ・ショア。

バネッサは、レベッカ・ショアの鈍い反応に納得している。

「レベッカには、私が教えていくよ。」
とキャスリーヌ。

「ありがとう。キャスリーヌ。」
とレベッカ・ショア。

「ニンデリー王国の貴族は、平民に対して、全体的に弱腰で、貴族と平民の線引きをしないわ。

平民に備わっていなければならない常識がないのは、平民だけのせいでもないわね。」
とバネッサ。

ベリーベリー・イニーも声をあげた。

「あたしも、レベッカと同じで、貴族と平民の距離感を知らない。

あたしも、教えてほしい。」
とベリーベリー・イニー。

「ベリーベリー・イニーには、わたしが教える。」
とマーゴット。

「良かった、ありがとう、マーゴット。」
とベリーベリー・イニー。

ベリーベリー・イニーは、新しく増えた知識を元に、ナンシー・ボーンとナンシー・ボーンの家族について考えた。

あたしは、ドレマンの民じゃないから、ドレマンの民の常識を知らない。

ドレマンの民のナンシーが出入りしていたのは、ドレマン様のお宅。

ドレマンの民であるナンシーは、他の貴族よりも、ドレマン様のお宅に入りやすかったのかもしれない。

ナンシーは、貴族に近づいたがっていたけど、ナンシーの家族は、ずっと、そんな風には見えなかった。

いつの間に、変わったのかな。
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