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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

596.マーゴットは、女帝気質。平民も貴族もすべからく従える。ナンシー・ボーンの母も掌の上で、コロコロ。行け、ニンデリー王国の貴族の元へ。

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マーゴットは、ナンシー・ボーンの母が泣こうが騒ごうが気にならない。

ナンシー・ボーンの家族は、マーゴットという貴族の先触れを無視し、貴族の予定を狂わせようとした。

貴族であるマーゴットの来訪は、ベリーベリー・イニーのような平民の少女がナンシー・ボーンの家を訪問するのとは、わけが違う。

平民でありながら、貴族であるマーゴットの予定を乱そうとして、平気でいるナンシー・ボーンの母の反応が、世界的には異常なのだ。

ナンシー・ボーンの母は、自らの異常性に気づかないで、マーゴットに食ってかかる。

「ナンシーを返して。ナンシーを戻して。
ナンシーをどこにやったのよ!」
とナンシー・ボーンの母は、マーゴットに掴みかからんばかりになっている。

「ナンシー・ボーンがおかしくなったから、ナンシー・ボーンの家族は、ベリーベリー・イニーの家とベリーベリー・イニーの母を襲撃した。

わたしの部下のベリーベリー・イニーの父が住む家が荒らされ、ベリーベリー・イニーの母が重傷を負う原因となったナンシー・ボーンを野放しにするなど、愚の骨頂。」
とマーゴット。

「ナンシーを殺すんじゃないでしょうね!
ナンシーは、被害者なのよ?
ナンシーは、何も悪くないのよ?」
とナンシー・ボーンの母は、ここにきて、娘の命が危ぶまれる事態ではないか、と思い至った。

「ナンシー・ボーンを生かすことで、誰が得するかを考えなさい。」
とマーゴット。

「得?娘の生死を損得で考えろと言うの!」
とナンシー・ボーンの母。

「ナンシー・ボーンを生かすために、ナンシー・ボーンの父と弟は、もうこの家には帰ってこない。」
とマーゴット。

「何を馬鹿なことを。

帰ってこないはずがないわよ。

ナンシーと私がいるのに。」
とナンシー・ボーンの母。
 
「ナンシー・ボーンとナンシー・ボーンの母は、使えないから、この場所に置いていかれた。」
とマーゴット。

「使えないから?ナンシーのことを使えるとか、使えないとか。
なんて酷い言い草!

私もナンシーも、置いていかれてなんていない!」
とナンシー・ボーンの母。

「ナンシー・ボーンの母が置いていかれていない、と思うなら。

今から、ナンシー・ボーンの父と弟がいる場所に向かいなさい。

『ナンシーの面倒はもう見なくて良くなった、家に帰ろう』と伝えたときに。

ナンシー・ボーンの父や弟や貴族が、どんな反応をするか、ナンシー・ボーンの母自身の目で見てきなさい。」
とマーゴット。

「私がいなくなったら、ナンシーは、どうなるの!」
とナンシー・ボーンの母。

「ナンシー・ボーンは、生きたまま別の場所へ移した。

ナンシー・ボーンの母は、わたしの話していることを確認したら、わたしの元へ報告に来なさい。」
とマーゴット。
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