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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

590.マーゴットとナンシー・ボーンの母。ナンシー・ボーンの家族の背後にいる貴族は、シグル・ドレマンのドレマン家の分家だけではない?

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マーゴットは、3番目の兄ハーマルが負けるとは考えていない。

どう考えても、負け戦になる外交ではない。

これから、マーゴットがすることは、マーゴット自身のためにする。

マーゴットのやりたいことをやりやすくするために、駒を配置しておき、兄にお土産を用意する。

マーゴットの中では、あたりまえのこと。

ナンシー・ボーンの背後にいる貴族を引きずり出すために、ナンシー・ボーンの母にお喋りさせよう。

「わたしに対抗できる貴族がこの国にいる、というなら、わたしの前に連れてきなさい。

木っ端微塵にする。」
とマーゴット。

「お貴族様がいくら強い言葉を使ったところで、私達に怖いものなんてないわ!」
とナンシー・ボーンの母。

「ナンシー・ボーンは、ニンデリー王国の貴族に近づいて、今の姿になった。

ナンシー・ボーンの家族も同じ道に進む?」
とマーゴット。

「お貴族様とは違って、私達を守ってくださる貴族様が、ニンデリー王国にはいるんだ!」
とナンシー・ボーンの母。

「1人や2人、すぐにいなくなるのが、世の理。」
とマーゴット。

ベリーベリー・イニーは、人がすぐにいなくなる理由を理解できるようになった。

何度かの襲撃のお陰で。

都合が悪くなると、消される人が出てくる。

予定調和のように。

「1人や2人じゃない。私達の味方は、たくさんいる!ニンデリー王国の貴族が束になれば、お貴族様なんか、ひとたまりもない。

怖い思いをしたくないなら、早く逃げ帰ってしまいな。」
とナンシー・ボーンの母は、マーゴットに気炎を吐く。

「ナンシー・ボーンの家族の背後にいるニンデリー王国の貴族は、1人や2人じゃない?」
とマーゴット。

1人や2人じゃないなら。

ナンシー・ボーンの背後にいるのは、政治的な思惑があるグループの可能性が高い。

ナンシー・ボーンが最初に近づいたのは、この辺りの支配者だったドレマン家の分家だった。

マーゴットが部下にしたシグル・ドレマンは、本家。

本家のシグル・ドレマンを追いやる形で、ドレマン家の分家は、ドレマン家の本流になった。

ナンシー・ボーンの背後にいるのが、ドレマン家の分家なら、ニンデリー王国の王太子殿下がどうにか抑え込めたはず。

ニンデリー王国の王太子殿下よりも力のある貴族が、ドレマン家の分家を飲み込んだか。

ドレマン家の分家の力が及ばなくなり、ドレマン家の分家の頭越しに動いた貴族が複数いるのか。

ナンシー・ボーンの家族の背後にいる家族は、ニンデリー王国の貴族として、腰抜けではないのかもしれない。

ふむ、と、マーゴットは、考える。

シグル・ドレマンの分家に圧力をかけるつもりでいた。

複数の貴族家、となると。

片手間に片付けたら、ニンデリー王国の貴族社会が瓦解する。

ハーマルお兄様に投げる?

「ナンシー・ボーンの父と弟は、どこにいる?」
とマーゴット。
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