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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

583.ベリーベリー・イニーは、『我が家で好き放題しないで』というナンシー・ボーンの母に、当てこすったけれど、ナンシー・ボーンの母は?

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ナンシー・ボーンの母は、マーゴットによる貴族と平民の道理を聞かされて、言葉に詰まった。

「ジュゴン先生、いつでもどうぞ。」
とマーゴット。

マーゴットは、ナンシー・ボーンの母が怯んだすきに、ジュゴン先生にバトンタッチ。

「止めなさい。我が家で好き放題なんて!」
とナンシー・ボーンの母。

ベリーベリー・イニーは、黙っていられなかった。

「あたしの家では、好き放題したのに?」
とベリーベリー・イニー。

ナンシー・ボーンの母は、ベリーベリー・イニーにあてこすられたところで、痛くも痒くもない。

ナンシー・ボーンの母は、ハハンと笑った。

「ベリーベリーの家?

勘違いも甚だしい。

ベリーベリーは住んでいるだけよ。

ベリーベリーのお父さんは、住む家を借りていただけで、家を買っていないから、家の持ち主じゃない。

あの家は、持ち主のもの。

あの家をうちの家と言っていいのは、私。

ベリーベリーの住んでいる家の持ち主は、私。

ベリーベリーは、私の家に住んでいるのよ。

私の家に、私が入るだけなのに、何が悪いというの?」
とナンシー・ボーンの母。

家の貸し主と借り手、どちらの立場が強いか、なんて、ベリーベリー・イニーには分からない。

家の権利なんて、今まで考えたことがなかった。

「家の中を荒らすのは、悪いこと。」
とベリーベリー・イニー。

「ベリーベリー・イニー。

ナンシー・ボーンの母の相手をするなら、わたしの後にしなさい。

ベリーベリー・イニーが知らない知識で、勝負をふっかけられたら、勝負をしないこと。」
とマーゴット。

「あたしは、勝負なんてしていない。」
と不思議そうなベリーベリー・イニー。

「ベリーベリー・イニーは、ただの会話のつもり。

ナンシー・ボーンの母は、家の持ち主として、借り手のベリーベリー・イニーと対峙する構図を作り上げ、ベリーベリー・イニーから言質をとろうとしていた。」
とマーゴット。

「言質をとる?
あたしが話す言葉を、何一つ、まともに取り合おうとしなかったのに?」
とびっくりするベリーベリー・イニー。

「人聞きの悪いことを言わないでください。貴族様。」
とナンシー・ボーンの母。

「ベリーベリー・イニー。

ベリーベリー・イニーより狡猾な者の罠にはまらなくなるための練習として、今回は、良い題材。

ベリーベリー・イニーの父の主君であるわたしが、ナンシー・ボーンとナンシー・ボーンの家族の処遇を決めると決まっているとき。

ベリーベリー・イニーは、ナンシー・ボーンとナンシー・ボーンの家族に勝手に話しかけてはいけない。

わたしの許可が出る前に、ベリーベリー・イニーが話しかけるときは、次の場合だけだと覚えなさい。

ナンシー・ボーンとナンシー・ボーンの家族が無礼を働いたのを咎めるとき。

それ以外は、主君の足を引っ張る行為になる。

以後、慎みなさい。」
とマーゴット。

「人の子の問題は、人が片付けるといい。

さあ、魚を楽にしよう。」
とジュゴン先生。
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