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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

577.キャスリーヌ。『布人間の気概は、立派だけど、現状把握能力は絶望的。布人間が、二度と思い違いしないように、手を打とう。』

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マーゴットは、布人間レーイーエール・サバンナパークの処遇に関して、キャスリーヌに一任している。

マーゴットの出した条件を満たしていれば、キャスリーヌの思うどんな条件を、布人間レーイーエール・サバンナパークにのませても構わない。

「布人間の気概は、立派だよ?
現状把握能力には問題があるけどね。」
とキャスリーヌは、にべもない。

「キャスリーヌ・ベイモン。私の質問の答えになっていない。」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、粘る。

「まだ、反論の余地があると思えるんだね。

布人間が、今後、良からぬことを考えないように、トレメイヤ王国は属国にするよ。」
とキャスリーヌ。

「は?」

布人間レーイーエール・サバンナパークは、鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けた。

「魔法騎士団員の私を服従させられるのにか?」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、不機嫌になった。

トレメイヤ王国の魔法騎士団は、ブランドだ。

魔法関係の相談事が国外から、公式、非公式に持ち込まれ、解決を請け負った魔法騎士団員が、国外に出張することは、多々ある。

ニンデリー王国とトレメイヤ王国の契約も、魔法騎士団員を派遣して問題解決にあたることを目的に締結された。

価値ある魔法騎士団員の1人を服従させることができるというのに、キャスリーヌ・ベイモンは、全くありがたがらない。

成人前の少女なだけあって、世事に疎いのかもしれない、と考えて、レーイーエール・サバンナパークは、忌々しさを抑え込もうとした。

キャスリーヌは、布人間レーイーエール・サバンナパークの苦悩や苛立ちを眼下に見下ろし、意に介さない。

キャスリーヌの狙いは、最初から、布人間レーイーエール・サバンナパークの身柄ではない。

トレメイヤ王国を属国化するなら、さっきまで想定していた取引の段取りは、なしにして、新しく属国バージョンを決めなくては。

キャスリーヌは、布人間レーイーエール・サバンナパークと向き合いながら、同時に、トレメイヤ王国との契約について考えている。

「私にとって、魔法騎士団員1人の服従は、鳥の羽根より軽い。

1枚の鳥の羽根より軽い価値の布人間の服従と引き換えにできるというなら、トレメイヤ王国の価値も、鳥の羽根以下になるよ?

両方手に入れる方が、手っ取り早く確実。

我がベイモンが、トレメイヤ王国を手に入れた後。

布人間には、服従の証として、魔法騎士団での活躍を期待しているよ。」
とキャスリーヌ。

鳥の羽根より軽い価値しかなくても、捕まえたものは使うとキャスリーヌは、布人間レーイーエール・サバンナパークに告げた。
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