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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
574.眠気に襲われながら、寝ることもできずに、頭痛に苦しむ布人間レーイーエール・サバンナパークに、キャスリーヌは、囁く。『降参する?』
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布人間レーイーエール・サバンナパークは、眠いのに無理やり起こされ続けて、寝れないため、頭がガンガンと痛む。
眠気と頭痛と嫌いな音の三重苦に、踊りたくもないのに踊らされている不快感が相まって、布人間レーイーエール・サバンナパークの苛々は最高潮。
苛々しすぎて、何もしたくない。
何も考えず、何者にも煩わされずに、寝てしまいたい。
そもそも、どうして、こんなに眠いのに起きていなくてはいけないのか?
布人間レーイーエール・サバンナパークは、痛む頭で考える。
どうして、こんなところにいたのだろうか?
仕事だ。
仕事で来た。
仕事で、気になることがあった。
だから、雑魚に紛れて偵察にきた。
うまくいったと思っていたら、最初から見抜かれていた。
見抜かれたくらい、大したことない、と、どこかで、たかをくくっていた。
表向きは、敬意を払っていたが、しょせんは、世間知らずの少女だ、恐ろしくもなんともない、と。
ひよっこ4人とニンデリー王国の貴人4人。
余裕で戦力過多の作戦は、根底からひっくり返された。
成長したら恐ろしくなる可能性があったところで、今はまだ、子ども。
創世の十傑などと、大げさな看板を背負っているだけではないか?
目の前にいるのは、何の変哲もない、小生意気なだけの成人していない娘。
強さなど、どこにも見当たらない少女を警戒し過ぎではないか?
マーゴットとキャスリーヌという2人の娘を見たとき。
言うほど大層なものじゃないと、何度か思ってしまったから。
ガランを敵に回してはいけないということを、知識では知っていた。
知識では知っていたから、余裕があるうちは、間違わなかった。
創世の十傑の話は、魔法騎士団の騎士が一人前になって、1人で仕事を任されるようになったら、必ず先輩から聞かされる。
口伝のように。
世界の礎、世界の始まりを作ったと言われている十の家。
一生関わり合うことはないかもしれないが、と話を聞かせてくれた先輩は、次の後輩に語り継いでいくように、と、レーイーエール・サバンナパークに言っていた。
『創世の十傑に数えられているような伝説は、出会ってから、知らなかった、では遅い。』
と。
出会ってしまったなら、どうすればいいか?
『決して、正面からぶつかることなかれ、と言われている。ぶつかりそうになったら、撤退しろ。
目先の欲に溺れるな。
それは、名誉ある撤退になる。』
敵対はするな。
なぜなら?
『敵対しなければ、相手にされないが、牙をむいたものには容赦しない。』
最初から完全に間違ってしまったのだ。
レーイーエール・サバンナパークは、痛む頭の片隅で、ようやく、その結論に達した。
布人間レーイーエール・サバンナパークのステップを踏み続ける足は、ステップのスピードをどんどん早くしていく。
眠い、眠い、休めない、終わらない、頭が割れそうに痛い。苦しい。
レーイーエール・サバンナパークは、唐突に、先輩が締めくくりに言った言葉を思い出す。
『トレメイヤ王国は、新しい国だから、創世の十傑との繋がりはない。
我々は、新しい王国だから、古い繋がりを持つ必要がない。』
布人間レーイーエール・サバンナパークは、そのとき、ニンデリー王国に来て初めて後悔した。
トレメイヤ王国と、創世の十傑との繋がりを作ってしまったのだ。
レーイーエール・サバンナパークは、国の方針に逆らってしまった。
「トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパークは、ベイモン家のキャスリーヌに降参を宣言する?」
キャスリーヌの穏やか囁やきが、やけに大きく、はっきりと聞こえてくる。
眠気と頭痛と嫌いな音の三重苦に、踊りたくもないのに踊らされている不快感が相まって、布人間レーイーエール・サバンナパークの苛々は最高潮。
苛々しすぎて、何もしたくない。
何も考えず、何者にも煩わされずに、寝てしまいたい。
そもそも、どうして、こんなに眠いのに起きていなくてはいけないのか?
布人間レーイーエール・サバンナパークは、痛む頭で考える。
どうして、こんなところにいたのだろうか?
仕事だ。
仕事で来た。
仕事で、気になることがあった。
だから、雑魚に紛れて偵察にきた。
うまくいったと思っていたら、最初から見抜かれていた。
見抜かれたくらい、大したことない、と、どこかで、たかをくくっていた。
表向きは、敬意を払っていたが、しょせんは、世間知らずの少女だ、恐ろしくもなんともない、と。
ひよっこ4人とニンデリー王国の貴人4人。
余裕で戦力過多の作戦は、根底からひっくり返された。
成長したら恐ろしくなる可能性があったところで、今はまだ、子ども。
創世の十傑などと、大げさな看板を背負っているだけではないか?
目の前にいるのは、何の変哲もない、小生意気なだけの成人していない娘。
強さなど、どこにも見当たらない少女を警戒し過ぎではないか?
マーゴットとキャスリーヌという2人の娘を見たとき。
言うほど大層なものじゃないと、何度か思ってしまったから。
ガランを敵に回してはいけないということを、知識では知っていた。
知識では知っていたから、余裕があるうちは、間違わなかった。
創世の十傑の話は、魔法騎士団の騎士が一人前になって、1人で仕事を任されるようになったら、必ず先輩から聞かされる。
口伝のように。
世界の礎、世界の始まりを作ったと言われている十の家。
一生関わり合うことはないかもしれないが、と話を聞かせてくれた先輩は、次の後輩に語り継いでいくように、と、レーイーエール・サバンナパークに言っていた。
『創世の十傑に数えられているような伝説は、出会ってから、知らなかった、では遅い。』
と。
出会ってしまったなら、どうすればいいか?
『決して、正面からぶつかることなかれ、と言われている。ぶつかりそうになったら、撤退しろ。
目先の欲に溺れるな。
それは、名誉ある撤退になる。』
敵対はするな。
なぜなら?
『敵対しなければ、相手にされないが、牙をむいたものには容赦しない。』
最初から完全に間違ってしまったのだ。
レーイーエール・サバンナパークは、痛む頭の片隅で、ようやく、その結論に達した。
布人間レーイーエール・サバンナパークのステップを踏み続ける足は、ステップのスピードをどんどん早くしていく。
眠い、眠い、休めない、終わらない、頭が割れそうに痛い。苦しい。
レーイーエール・サバンナパークは、唐突に、先輩が締めくくりに言った言葉を思い出す。
『トレメイヤ王国は、新しい国だから、創世の十傑との繋がりはない。
我々は、新しい王国だから、古い繋がりを持つ必要がない。』
布人間レーイーエール・サバンナパークは、そのとき、ニンデリー王国に来て初めて後悔した。
トレメイヤ王国と、創世の十傑との繋がりを作ってしまったのだ。
レーイーエール・サバンナパークは、国の方針に逆らってしまった。
「トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパークは、ベイモン家のキャスリーヌに降参を宣言する?」
キャスリーヌの穏やか囁やきが、やけに大きく、はっきりと聞こえてくる。
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