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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

557.マーゴットとキャスリーヌ。交渉事というものは、対等では行われない。交渉する前段階で土台が仕上がっている。後は、土俵に招くのみ。

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布人間レーイーエール・サバンナパークは、キャスリーヌの陽気な誘いを一蹴した。

「こんな惨事の中で、呑気なことを言っている場合か!」

子ども過ぎて、大事になっているのが分からないのか?

ならば、丸め込めば。

布人間レーイーエール・サバンナパークの頭の中は、目まぐるしく計算している。

マーゴットは、布人間レーイーエール・サバンナパークの計算を待たない。

「目出し隊4人は、ニンデリー王国の貴人だという話。

トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパークが、無抵抗なニンデリー王国の貴人に攻撃をして、重傷を負わせたことは明白。

さて。

布人間レーイーエール・サバンナパーク。

どこに証言に行ってほしくないか言いなさい。」

「は?」

布人間レーイーエール・サバンナパークは、マーゴットの最後の台詞に戸惑った。

「何を言わせたい?」

お喋り大好きで陽気なキャラを引っ込めたレーイーエール・サバンナパーク。

「このあたりの住民を遠ざけて目撃者をいなくしたのが、ニンデリー王国の貴人なら。

トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパーク。

ニンデリー王国の貴人4人とひよっこ3人を無差別に攻撃した事件がニンデリー王国側に発覚する前に、出国する時間が、今なら、ある。

7人全員が命を落せば、レーイーエール・サバンナパークの凶行を話題にするものはいない。

それとも、今から、1人で、7人分の手当てをする?

生きた証拠と共に、ニンデリー王国とトレメイヤ王国の契約を書き換える?

新しい契約で、トレメイヤ王国側は、どんな苦汁をなめることになるか。」

マーゴットの悪魔のささやき。

布人間レーイーエール・サバンナパークの頭の中を、いくつもの可能性が通り過ぎていく。

「布人間レーイーエール・サバンナパーク。

大変そうだね?

私の助けを願うなら。

降参して、膝をつき、恭順と服従を、私に示すといいよ。

布人間レーイーエール・サバンナパークが、今から未来永劫、私の役に立つというなら、私は、この件の解決に手を貸しても構わないよ。」
とキャスリーヌ。

トレメイヤ王国の特殊な布の技術を目当てに、技術提携するのが、キャスリーヌの狙い。

トレメイヤ王国の魔法騎士団に、絶対に逆らわない情報源とその手足を忍ばせておくよい機会。

交渉事は、交渉のテーブルにつく前に、結末が見えている。

「布人間レーイーエール・サバンナパーク。

死んだ人間を生き返らせるのは困難だよ。

7人に回復する生命力が残っているうちに、言葉と態度で、返事してよ。

今から1分後に、返事を聞くから。」
とキャスリーヌ。
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