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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

553.布人間レーイーエール・サバンナパークは、見誤った。マーゴット・ガランという少女の在り方は、女帝。

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布人間レーイーエール・サバンナパークは、ひよっこ3人の助けてコールに、気が抜けそうになった。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、自身が発生させたかまいたちを消すことはできる。

できるが、今、それをする意味はない。

キャスリーヌ相手に、手加減は不要。

むしろ、早めに全力を出した方が良いだろう。

ひよっこ3人を見れば、ガランの娘と一緒にいる。

ガランの娘は涼しい顔。

ガランの娘自身は、やり過ごす術を持っているに違いない。

ひよっこ3人は、助けを求めるようにと、ガランの娘に焚きつけられたのだろう。

布人間レーイーエール・サバンナパークの標的、キャスリーヌは、ケロッとしている。

布人間レーイーエール・サバンナパークは考えた。

ひよっこ3人を含むレーイーエール・サバンナパーク以外は、ガランの娘に人質にとられた。

癪に障るが、ガランの娘は、人質を死なせることはしないだろう。

ひよっこ達やニンデリー王国の目出し隊の安全は保証されたも同然。

ならば、同心円状のかまいたちなどという手ぬるい攻撃ではなく、殺傷能力の高い攻撃に切り替えるチャンス。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、かまいたちの数を急激に増やしていく。

空間を埋め尽くす勢いのかまいたちを見て、ひよっこ3人は、悲鳴をあげた。

「師匠、無理です。」

「師匠、増えてます。」

「かまいたちから逃げるのが間に合いません。」

ひよっこ3人は、師匠のかまいたちの威力を知っている。

師匠には、聞こえていない?

まさか、こんなに必死に叫んでいるのに。

師匠は、ひよっこ達のために、何かをしてくれているようには見えない。

まさか、このまま、俺達は、見殺しにされてしまうのか?

恐怖しかない。

恐怖の中で、ひよっこ達は祈っている。

どうにか、奇跡が起きないかと。

全てのかまいたちが消え去って、ただの平穏が戻ってくることを。

どうあっても、師匠レーイーエール・サバンナパークのかまいたちには敵わない。

ひよっこ達の頭と体は、理解している。

逃げ出す場所は既にない。

身を隠すこともかなわない。

師匠のレーイーエール・サバンナパークが、早くかまいたちを消してくれることを願うのみ。


不幸なことに。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、マーゴットの在り方が女帝であることを知らなかった。

もしも知っていれば、レーイーエール・サバンナパークは、間違えなかっただろう。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、無能ではない。

ただ、マーゴット・ガランを知らないだけ。

女帝は、庇護下に入れているものしか守らない。

たとえ目の前にいる命であろうとも。

庇護下にないものに慈悲は授けない。

手を差し伸べる相手の線引は明確。

女帝に膝を折るか、頭を垂れる者のみ。

この場で、マーゴットの庇護下にいるのは、腹心のキャスリーヌを除くと。

バネッサ、
レベッカ・ショア、
ベリーベリー・イニー。

マーゴットが、背後に控えさせている3人の少女だけ。
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