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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

550.ひよっこ3人。『あー、気持ち悪かった。細長いのと掌サイズの何かを師匠が弾き飛ばしている。害がなさそうだから、引き寄せてみよう!』

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布人間レーイーエール・サバンナパークの魔法を再利用して作られたミミズと鳥の雛の死骸は、布人間レーイーエール・サバンナパークの魔法を変質させている。

布人間レーイーエール・サバンナパークの防御魔法が、ミミズと鳥の雛の死骸を弾いているのは、ミミズと鳥の雛の死骸が布人間レーイーエール・サバンナパークの魔法とは異なってしまっているから。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、魔法攻撃によって、ミミズと鳥の雛の死骸がかえって増えたことには気づいたけれど。

増えたミミズと鳥の雛の死骸が、防御魔法に弾かれる理由に、いつ気づくだろうか?

気づいたら、どうするだろうか?

キャスリーヌは、弾き飛ばされているミミズと鳥の雛の死骸が徐々に地面を埋めていくのを見守っている。

まだかな、まだかな?

キャスリーヌは、わくわく。


魔力と吐瀉物を吐き出していたひよっこ3人は、吐ききって、ぐったりして道に寝転がっている。

何かが空中を飛んでいることに気づいた3人は、飛来物を目で追い始めた。

「掌サイズのゴミと細長いゴミ?」
とひよっこ1号。

「きっと害はない。師匠が防御魔法で弾き飛ばしている。」
とひよっこ2号。

「良くないものなら、弾き飛ばすだけにしないと思う。」
とひよっこ3号。

「何だろう?」
とひよっこ1号。

「確認してみる?」
とひよっこ2号。

「害はなさそうだから。」
とひよっこ3号。

ひよっこ達は、魔法を使って、飛来物を引き寄せてみた。

そして。

「「「うんぎょー!」」」

3人は、叫んだ。

動きが鈍いけれど、動かないわけではないミミズ。

死後硬直のかっちんこっちんの状態を過ぎ始めた鳥の雛の死骸。

どちらも見慣れないもの。

魔法騎士団の団員は、魔法騎士団に入団する前から、魔法に長けているものが多い。

常日頃から魔法を使うことで、魔法の腕を磨いてきた子ども時代。

ミミズを掘り起こすような遊びはしてこなかったひよっこ達。

鳥の雛の死骸になんて、滅多にお目にかからない日常のひよっこ達。

「「「気持ち悪い!」」」
ひよっこ3人は、引き寄せてみたミミズと鳥の雛の死骸を見えないほど遠くに魔法で移動させてしまった。

マーゴットは、ひよっこ達3人のうかつな行動を見守っている。


布人間レーイーエール・サバンナパークは、弾いても弾いても、ミミズと鳥の雛の死骸が減らないことに閉口していた。

ひよっこ達3人が悲鳴をあげたときは、いかがした?と心配になった。

悲鳴の後すぐに、気持ち悪い、というひよっこ達3人の声が聞こえてきたので、大事ないと一安心。

ひよっこ達3人のいる方向へ、ミミズと鳥の雛の死骸が、たまたま飛んだのだろう。

布人間レーイーエール・サバンナパークの頭上から降ってくるミミズと鳥の雛は、減る兆しがない。

防御魔法に変えた効果は、ミミズと鳥の雛の死骸を増やさないだけ。

どうしたものか。

布人間レーイーエール・サバンナパークが思案していると。

ガサガサ。

ゴソゴソ。

地面を足早に這い回るような音が聞こえてきた。

次は何だ?
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