子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

545.トレメイヤ王国の布人間レーイーエール・サバンナパークとひよっこ3人の体を覆っていた布が外れると？悲劇の幕があける。誰にとっての？

布人間レーイーエール・サバンナパークの体に巻き付けていた布は、布人間レーイーエール・サバンナパークとキャスリーヌの頭上に広がった。

キャスリーヌは、観察する。

布人間レーイーエール・サバンナパークの体に巻き付けられていた布は、似たような色と模様の端切れを何枚も縫い合わせている。

全ての端切れは、少しずつ模様が違う。

共通しているのは、白地に藍色の文様だということ。

白い生地には、一部黄ばんでいる部分もある。

布人間レーイーエール・サバンナパークの体に巻き付けてある布は、全て、布人間レーイーエール・サバンナパークの体から離れた。

途端に。

レーイーエール・サバンナパークの魔力量が、跳ね上がる。

キャスリーヌは考える。

体に布を巻き付けることによって、魔力量を増大させることができる？

それとも。

魔力量を一時的に抑え込むための呪文が、布に書いてあったのか。


一方のマーゴットは、バネッサ、ベリーベリー・イニー、レベッカ・ショアを後ろに控えさせている。

ひよっこ達の布の動きは、マーゴットが視界の端でとらえていた。

布の下からあらわれたひよっこは、3人とも十代後半の少年達。

年齢からすると、ひよっこ達は、引率されて、初めての任務にあたったというところだろう。

ひよっこの口を閉じさせようと思えば、簡単に閉じさせられるマーゴット。

ひよっこと布人間レーイーエール・サバンナパークを分断してしまえば、経験の足りていないひよっこは、マーゴットに蹂躙される未来しかない。

布人間レーイーエールサバンナパークの体に巻き付けてあった布は、レーイーエール・サバンナパークから離れたことで、レーイーエール・サバンナパークの魔力量を増大させた。

増大した魔力量から、マーゴットは推測する。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、本気で抗ってくる。

ひよっこ達も、布がなくなって、魔力量は増大した。

魔力量の大小で、勝敗をつけたいなら、悪くはない選択、とマーゴットは思う。

実力を隠したままでも、実力を露呈させてからでも。

負けは、負け。

勝ちは、勝ち。

真剣勝負にやり直しはない。

魔力量が増大した、3人のひよっこ達は、マーゴットによる魔法の拘束を打ち消そうとしている。

マーゴットは、3人のひよっこ達が奮闘するのを見ている。

ひよっこ達の抵抗は、どれだけ、保つか、と。

ひよっこ達は、自分では気づけない。

魔力量が増大したところで、マーゴットに敵いはしないということに。

マーゴットは、魔法で、ひよっこ達の魔力が、その体表から漏れ出ないようにした。

ひよっこ達の口を開閉口に見立てて、口だけは、魔力が放出できるようにしてある。

ひよっこ達が魔法の呪文を唱えられたのは、口から魔力を出せたから。

内包する魔力量が増大しても、出口は、1つ。

人の顔にある口の大きさは変わらない。

増大した魔力量のままに、ひよっこ達は、魔法を使おうとしている。

己の頑張りが、どんな結果をもたらすかも知らないひよっこ達。

マーゴットが使っている、ひよっこ達の魔力をひよっこ達の体表の内側に封じる魔法は。

増大する前のひよっこ達自身の魔力を使っている。

体表の魔力量を上回る魔力が、体の内側に蓄積すればどうなるか？

布人間レーイーエール・サバンナパークは、キャスリーヌにかかりきり。

ひよっこ達に注意する師匠兼上官は、ひよっこ達を見ていない。

悲劇が起きるのが先か？

ひよっこの師匠兼上官レーイーエール・サバンナパークが動くのが先か？