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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

542.マーゴットとキャスリーヌ。敵に回してはならない少女達。トレメイヤ王国の布人間レーイーエール・サバンナパークに最後通牒を突きつけよう。

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マーゴットとキャスリーヌの動きは早かった。

マーゴットは、布人間レーイーエール・サバンナパークに、静かに問う。

「レーイーエール・サバンナパーク。

わたしの言葉は、一考に値しないほど軽かったか?

ひよっこに言い聞かせるには足りないか?」

布人間レーイーエール・サバンナパークは、キャスリーヌによって、両膝を道について、頭の後ろに両腕を組まされていた。

バネッサに魔法陣を投げつけたひよっこの顔色は、マーゴットの魔法で絞め上げられて、土気色になっている。

残る3人のひよっこは、マーゴットの魔力に威圧されて、指一本動かすことができずにいた。

ニンデリー王国の目出し隊は、マーゴットの圧で、地面に膝をつかされ、上半身を曲げて地面に唇がのめり込むほどのキスをしている。

「わたしの問いかけに答えなさい。
トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパーク。」
とマーゴット。

「おそれ多いことでございます。」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、キャスリーヌの拘束により、唯一自由になる口から言葉を絞り出した。

「トレメイヤ王国のレーイーエール・サバンナパーク。

今、確認できる範囲で、わたしの意に添わぬ行いが行われることを止めなかった責任を果たしなさい。

責任を果たした後、残りを連れて、直ちに出国しなさい。

この件は、トレメイヤ王国の手勢がニンデリー王国から1人残らず撤収したことをガランとベイモンが確認した時点で、不問とする。

バネッサは、コーハ王国の伯爵令嬢。

トレメイヤ王国へは、コーハ王国から抗議があると心得なさい。」
とマーゴット。

バネッサは、危機を回避できたことに安心しながらも、気を引き締める。

マーゴットは、布人間レーイーエール・サバンナパークへ最後通牒を突きつけた。

布人間レーイーエール・サバンナパークが、バネッサに魔法陣を投げたひよっこの処理をこの場で、マーゴットの目の前で済ませること。

残りの3人のひよっこと、ニンデリー王国に潜入している他の手勢を全員、トレメイヤ王国に引き上げさせること。

この2つを実行しなければ、マーゴットとキャスリーヌではなく、ガラン家とベイモン家が動くことをマーゴットは示唆した。

ガラン家とベイモン家が動くことで、布人間レーイーエール・サバンナパークの母国トレメイヤ王国にどれほどのダメージがくるのか、バネッサには、想像がつかない。

バネッサを拉致しようとした件は、コーハ王国からトレメイヤ王国に抗議があるとマーゴットは言い切った。

マーゴットは、コーハ王国からの抗議に、一枚噛むのだろう。

布人間レーイーエール・サバンナパークと、魔法陣を投げたひよっこの1人は、退路をたたれた。

布人間レーイーエール・サバンナパークが、ひよっこを1人も死なせないとするなら、今から一戦を交えることになる。

布人間レーイーエール・サバンナパークとひよっこ以外にも、潜入している人が応援に駆けつけるかもしれない。

目の前にいる全員が、マーゴットに逆らえない状態だから、と気を抜いてはならない。

トレメイヤ王国の人は、ひよっこ1人でさえ、バネッサが戦うには、荷が重い相手だ。

戦闘は、マーゴットとキャスリーヌに任せる。

バネッサは、自身の身を守る方法を考えよう。
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