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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

541.バネッサ、ピンチ!

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ひよっこの1人が声をあげる。
「準備できました。」

マーゴットは、捕まえた4人を示した。

「お嬢様の拘束の魔法を解けば、魔法陣に吸い込まれます。」
と布人間レーイーエール・サバンナパーク。

マーゴットは、拘束している4人の魔法を解くにあたり、布人間レーイーエール・サバンナパークに釘を刺す。

「わたしのみている者に手出しをしたなら、その命はこれまで、と心得なさい。」
とマーゴット。

マーゴットが、目出し隊を拘束する魔法を解く。

「おい、やれ!」

「今だ!」

目出し隊の4人のうちの2人が、ひよっこ4人に叫ぶ。

「え?でも。」

「今は、そんな雰囲気じゃない。」

顔を見合わせて困惑するひよっこ4人。

「早く!もたもたするな!」
と目出し隊。

「もう、うるさいったら、うるさい。」

「やればいいんだよね?やれば。」

「急げ!無駄口を叩くな!」

ひよっこ4人のうちの1人が、バネッサに、事前に用意していた魔法陣を投げつけた。

ひよっこ4人は、魔法陣を維持しながら、新しく魔法陣を作り上げていた?

バネッサは、ひよっこの能力が、考えていたよりも高いことに驚いた。

投げつけてきた魔法陣は、転移か拘束か。

ベリーベリー・イニーの護衛をしているバネッサ。

護衛対象のベリーベリー・イニーの動きに合わせている関係で、1人のときのように俊敏さを発揮して、投げつけられた魔法陣を避けるのは難しい。

魔法陣を迎撃となると、バネッサにはやや難易度が上がる。

かといって、ベリーベリー・イニーを1人にするのは危険。

レベッカ・ショアは、足にヒレをつけた人を捕獲していて、そちらの監督をしている。

バネッサは、完成された魔法陣の効力を消すには、破壊するか相殺するか。

破壊は力技。

相殺は、技術が物を言う。

魔法陣を破壊するだけの魔力を圧縮してぶつけたいが、バネッサには、破壊に必要な魔力量が見えない。

魔法陣を破壊するだけの魔力量が足りないと、魔力をぶつけても、効果がない。

魔法陣の破壊は、却下。

魔法陣を相殺するには、観察力と技術と丁寧さが必要だ。

手早く相殺するためには、魔法陣に慣れ親しんだ方が、早く身につく。

バネッサは、戦いにおいて、魔法陣に慣れ親しんでこなかった。

バネッサの経験してきた戦場では、高度な技術を駆使してつくられた魔法陣など使われない。

高度な技術を持つ魔法使いは、国境の小競り合いごときに来ない。

高度な技術を持つ魔法使いは中央にいる。

コーハ王国のオッドア伯爵家のご令嬢バネッサ・オッドアは、ピンチを迎えていた。
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