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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

539.声なき声の救援要請は、マーゴット・ガランに届いた。役割分担をするマーゴットとキャスリーヌ。権力者対応と、現場対策と。

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魚憑きの研究に携わった呪術者チェール・モンス、
研究者の青年、
ニンデリー王国の王太子殿下。

3人は、王太子殿下の魔力を増やす目的に邁進していた。

生体兵器の開発という可能性にまで考えが及ばなかったのは、視野を広く持っていなかったから。

研究を進めていくにしたがって、誰か一人くらい、生体兵器の可能性に気づいたかもしれない。

研究が進む前に、抑え込めたのは僥倖。

チェール・モンスの発想と技術を内々に葬り、チェール・モンスの身柄を押さえる。

創世の十傑ガラン家当主の娘であるマーゴットは、世界の均衡と緩やかな発展を損なう動きを放置しない。

マーゴットをニンデリー王国へと導いた何者か。

魚憑きの研究が世に出る前にマーゴットが握りつぶすことを見越して、マーゴットにニンデリー王立学園へと進学させたとマーゴットは考えている。

人と人外との共存共栄を望む者の救援を望む意思は、マーゴットに届いた。

マーゴットは、声なき者の救援要請に応える。

誰かは分からなくても、マーゴットに助けを求めてきた者は、人と人外の共存共栄を意識して生きている者だから。

ひょっとしたら、生きていない者かもしれない。

人の発展のために、他種族を犠牲にする考え方を後押しするような技術は、広めない。

マーゴットが、ナンシー・ボーンの家を尋ねた表向きの理由。

ベリーベリー・イニーの父が、マーゴットの直属の部下だから、マーゴットの直属の部下の家族に危害を加えた者に対する抗議と脅しを、マーゴットが直々に、ナンシー・ボーンの家族の後ろにいる者に思い知らせて、賠償させるため。

表向きの理由に嘘はない。

ただ全部ではない。

キャスリーヌが、ナンシー・ボーンの家族に魔導具の損害賠償を求めるのも、マーゴットと同じ表向きの理由だ。

ナンシー・ボーンの身柄を確保することが、真の目的であり、ナンシー・ボーンの身柄を確保するために、家族ごと身柄を押さえておく。

マーゴットは、権力者を黙らせる。

キャスリーヌは、現場の証拠を確保して隠滅。

一つの目的の達成のために、マーゴットとキャスリーヌは、役割を分けている。

布人間レーイーエール・サバンナパークと話を詰めるにあたり。

マーゴットとキャスリーヌは、選手交代することにした。

布人間レーイーエール・サバンナパークの母国トレメイヤ王国との交渉となると、世界中で商売をしているベイモン家の当主の娘であるキャスリーヌの方が向いている。

「キャスリーヌ。トレメイヤ王国との話を詰めること。」
とマーゴット。

「了解。布人間、ここからは、ベイモン家の私と話をするよ。」
とキャスリーヌ。
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