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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

517.ジュゴン先生の生け簀用のプレゼントには、連中の中でも、活きのいいのを。『生け簀に魚以外を入れてもいいの?』『尾ビレがあれば?』

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マーゴットは、ナンシー・ボーンの家の中のゴンズイ玉を、家の中から出ないようにして、自由自在に泳がせることにした。

まず、ナンシー・ボーンの家を、呪術の結界を覆う。

魚憑きのナンシー・ボーンも家から出られなくなったが、マーゴットの所用が終わるまでの時間など、いかほどでもない。

そういえば、ナンシー・ボーンの母親も家にいた。

魚憑きではない人物が出入りすると、家が反応するように、呪術を足しておくとしよう。

ナンシー・ボーンの家の対策はした。

「ベリーベリー・イニー。対象の2名は?」
とマーゴット。

「見つからない。」
とベリーベリー・イニー。

「バネッサ、ベリーベリー・イニーを任せる。わたしは、ジュゴン先生の生け簀にプレゼントする魚もどきを見繕う。」
とマーゴット。

「いってらっしゃい。」
とバネッサ。

マーゴットは、レベッカ・ショアの元へ。

「まだ戦闘意欲がありそうな活きのいいのは?」
とマーゴット。

レベッカ・ショアは、次の一手を考えあぐねていたので、マーゴットに助けてもらうことにした。

「3人いる。どうしたらいい?」
とレベッカ・ショア。

「その3人は、ジュゴン先生の生け簀用にプレゼントする。」
とマーゴット。

生け簀用、プレゼント、ジュゴン先生、と聞いて、レベッカ・ショアは、ジュゴン先生の授業を思い出してみる。

ジュゴン先生は、魚を見せてくれて、希望する学生に解剖を教えてくれた。

解剖する魚は、生きている魚を取り出して使った。

そこまで思い出して、頭を捻るレベッカ・ショア。

「生け簀は、魚じゃなくても入っていいの?邪魔にならない?」
とレベッカ・ショア。

「魚以外でも、大丈夫。
海の側の海鮮料理店では、蟹、タコ、イカ、ウニ、貝も生け簀に入っていた。」
とマーゴット。

マーゴットのざっくりした判断に、レベッカ・ショアは首を傾げた。

「全部、海の中の生き物だよね?
人は、水の中の生き物じゃないけど、生け簀に入れてジュゴン先生に怒られないの?」
とレベッカ・ショア。

レベッカ・ショアの関心は、ジュゴン先生に怒られるか、怒られないか。

ジュゴン先生は、知らないことを丁寧に教えてもらえたから、楽しかった。

ジュゴン先生の次の授業を、レベッカ・ショアは楽しみにしている。

ジュゴン先生に、怒られるようなことは、あまりしたくない、とレベッカ・ショアは考えた。

人は生け簀に入れるものじゃない、と、スラッルス・トークンがいれば、ツッコミを入れるだろうが、スラッルス・トークンは、まだベッドの上。

「怒られそうになったら、怒られないように魚っぽく見せるから大丈夫。」
とマーゴット。

「魚っぽく?分かった!足を尾ビレにすればいいよね!」
とレベッカ・ショア。
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