子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

483.レベッカ・ショアの浅漬け戦法には、魔導具『忘れず閉めるくん』が全力でサポート。『忘れず閉めるくん』と収納袋は、野営向けの売れ筋商品。

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浅漬け戦法の要は、前世の意識。

「浅漬けは、さっと漬けてさっと出す。
手早く揉み込むのがポイント!

さあ。揉む。揉む。揉む。もっと揉む。」
と前世の意識。

前世の意識の掛け声に合わせて、レベッカ・ショアは手を動かす。

手に魔力を集中させて、収納袋の中に閉じ込められている男子学生を、収納袋ごと揉み込む。

「浅漬けは、短時間の揉み込みで切り上げる。
揉み込まれた男子学生の様子を見てみる。」
と前世の意識。

レベッカ・ショアが、確認してみると、男子学生は、気絶していた。

内蔵を含む解剖された魚の部位が詰まった密閉空間に閉じ込められ、五感を魚の生臭さに支配されて、気を失ったのだろうか。

男子学生の今世の人格は、魚の解剖や、死んだ魚の目に恐怖していた。

レベッカ・ショアとの出会いが恐怖として、男子学生の中に残ったなら、浅漬け戦法は成功だ。

男子学生は、二度と、レベッカ・ショアを傷つけようとしないだろう。

レベッカ・ショアは、収納袋を蓋している、2台の魔導具『忘れず閉めるくん』に、声をかけた。

「袋を開けて。中にいる男子学生を出したい。」
とレベッカ・ショア。

「「開ける、出す、どこに出す?」」
と2台の魔導具。

レベッカ・ショアは、男子学生を地面に横たわらせようと思っていた。

「地面に横たわらせると、魚の生臭さが地面にこびりつく。」
と前世の意識が、レベッカ・ショアにストップをかける。

「どこに横たわらせる?」
とレベッカ・ショア。

「魚の解剖をしていた台の上がいい。
男子学生の様子を確認するのに、かがむ必要がない。」
と前世の意識。

「魚の解剖に使っていた、台の上に出して。」
とレベッカ・ショア。

2台の魔導具に、魚の解剖に使っていた台が分からないと困る。

レベッカ・ショアは、魚の解剖に使っていた台の表面をコツコツと叩いた。

「ここ。この上。」
とレベッカ・ショア。

「「出すよ、出すよ。えいやこら、ほい。」」
という2台の魔導具の元気な声と共に。

内蔵を含む解剖された魚の部位に漬け込まれていた男子学生は、気絶した状態で台の上に乗せられていた。

「魔導具『忘れず閉めるくん』があれば、漬け物だけじゃなく、手を汚さずに、料理の下処理ができる。
洗い物を出さないなら、キャンプ向き。」
と前世の意識は、大絶賛。

野営のために開発された商品なので、レベッカ・ショアがキャンプをするときには活躍するだろう。

レベッカ・ショアは、『忘れず閉めるくん』に収納袋を開けてもらった。

男子学生の全身にくっついていた、魚の部位や内蔵を剥がして、収納袋に戻していく。

一連の作業を終えても、男子学生は気絶したまま。

はて、次は、どうしようか。

「起こす?」
とレベッカ・ショア。

「起こそう。もし、効果がなければ、もう一回、漬けよう。」
と前世の意識。
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