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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
452.裏切りに見える行いは、裏切りじゃない?
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ソラッドロス王太子殿下に答えたのは、マロン・ニャスター教授ではなかった。
「殿下の魔力量では、魔法システムが適正に動かないと予測できる。
それが分かっていて、殿下を世継ぎに担ぐのは、臣下として不誠実です。」
とネッド・チリル教授。
「魔法システムが動かない?それほどか?」
とソラッドロス王太子殿下。
「国王陛下の魔力量は、基準値の八割です。
殿下の魔力量は、基準値の四割です。
たりません。」
とネッド・チリル教授。
「半分以下か。側妃の子どもは、どのくらいだ?」
と衝撃を受けながらも、聞きたいことを聞くソラッドロス王太子殿下。
「基準値の二倍、に、やや満たない魔力量です。」
とネッド・チリル教授。
「姉上は?」
とソラッドロス王太子殿下。
「基準値の六割未満です。
魔法システムに注げるのは、一人の魔力のみです。実の姉と弟の組み合わせでも、魔力を足して基準値を満たすことは、できません。」
とネッド・チリル教授。
「実験したのか?」
とソラッドロス王太子殿下。
「だいぶ前の代で、第一王子の魔力が基準値に満たないため、足そうという試みがありました。
第二王子の魔力を足そうとしましたが、足せませんでした。
試みに参加した後。
第一王子は体調を崩されて寝たきりになり、起き上がることがないまま、亡くなられています。
第二王子は、慢性的に体調が優れないと、療養されましたが、終生、体調は回復されませんでした。
臣籍降下予定だった第三王子が、即位されました。」
とネッド・チリル教授。
「私には、伝えられていない歴史だ。」
とソラッドロス王太子殿下。
「当時、魔力を足すことを提唱した研究者は、秘密裏に消されました。
国王陛下としての初仕事、魔力を魔法システムに注ごうとしたのに、魔力量が足りなかったせいで、二人の王子を失った、という事実を公にするのは、国の弱みになります。
研究者達は、代々、口伝えで、記録を残すことにしたのです。
同じ過ちに、再びたどり着くことがないように。」
とネッド・チリル教授。
ネッド・チリル教授の王家に対する警戒と嫌悪は、ネッド・チリル教授自身の境遇だけが理由じゃないのか、とマーゴットは思った。
「試みをした第一王子の魔力量は、基準値の九割に満たなくても、八割は上回っていました。
国王陛下の魔力量は、基準値の八割。
今のところ、国王陛下のお体やな大きな不調はないご様子ですが、この先は分かりません。
国王陛下は、即位後、国王陛下としての最低限の公務以外は、されなくなりました。
理由が、体調的なものか、精神的なものか。
両方か、分かりませんが。
基準値の四割の魔力量の殿下が即位して、無事に済むとは考えません。
研究者は。」
とネッド・チリル教授。
「マロンの裏切りの理由は、私の体を思ってのことか。
私に話すのは、できなかったのだな?
私の周りには、思惑を持つ者が多くいる。
側妃の子どもを次代の国王陛下にしようとする勢力は、ことごとく、私の魔力量を問題視していた。
私は、魔力量を上げようと、マロンに相談しながら、鍛えていたときだったから、マロンに裏切られたのだと思っていた。」
とソラッドロス王太子殿下。
「ソラッドロス王太子殿下の即位を後押ししているのは、政治的な理由と、側妃が、国母にしないため。
でも。
ソラッドロス王太子殿下と第一王女殿下が、魔法システムを動かすのに失敗して、表舞台からいなくなれば、側妃の子どもが残る。」
とマーゴット。
「殿下の魔力量では、魔法システムが適正に動かないと予測できる。
それが分かっていて、殿下を世継ぎに担ぐのは、臣下として不誠実です。」
とネッド・チリル教授。
「魔法システムが動かない?それほどか?」
とソラッドロス王太子殿下。
「国王陛下の魔力量は、基準値の八割です。
殿下の魔力量は、基準値の四割です。
たりません。」
とネッド・チリル教授。
「半分以下か。側妃の子どもは、どのくらいだ?」
と衝撃を受けながらも、聞きたいことを聞くソラッドロス王太子殿下。
「基準値の二倍、に、やや満たない魔力量です。」
とネッド・チリル教授。
「姉上は?」
とソラッドロス王太子殿下。
「基準値の六割未満です。
魔法システムに注げるのは、一人の魔力のみです。実の姉と弟の組み合わせでも、魔力を足して基準値を満たすことは、できません。」
とネッド・チリル教授。
「実験したのか?」
とソラッドロス王太子殿下。
「だいぶ前の代で、第一王子の魔力が基準値に満たないため、足そうという試みがありました。
第二王子の魔力を足そうとしましたが、足せませんでした。
試みに参加した後。
第一王子は体調を崩されて寝たきりになり、起き上がることがないまま、亡くなられています。
第二王子は、慢性的に体調が優れないと、療養されましたが、終生、体調は回復されませんでした。
臣籍降下予定だった第三王子が、即位されました。」
とネッド・チリル教授。
「私には、伝えられていない歴史だ。」
とソラッドロス王太子殿下。
「当時、魔力を足すことを提唱した研究者は、秘密裏に消されました。
国王陛下としての初仕事、魔力を魔法システムに注ごうとしたのに、魔力量が足りなかったせいで、二人の王子を失った、という事実を公にするのは、国の弱みになります。
研究者達は、代々、口伝えで、記録を残すことにしたのです。
同じ過ちに、再びたどり着くことがないように。」
とネッド・チリル教授。
ネッド・チリル教授の王家に対する警戒と嫌悪は、ネッド・チリル教授自身の境遇だけが理由じゃないのか、とマーゴットは思った。
「試みをした第一王子の魔力量は、基準値の九割に満たなくても、八割は上回っていました。
国王陛下の魔力量は、基準値の八割。
今のところ、国王陛下のお体やな大きな不調はないご様子ですが、この先は分かりません。
国王陛下は、即位後、国王陛下としての最低限の公務以外は、されなくなりました。
理由が、体調的なものか、精神的なものか。
両方か、分かりませんが。
基準値の四割の魔力量の殿下が即位して、無事に済むとは考えません。
研究者は。」
とネッド・チリル教授。
「マロンの裏切りの理由は、私の体を思ってのことか。
私に話すのは、できなかったのだな?
私の周りには、思惑を持つ者が多くいる。
側妃の子どもを次代の国王陛下にしようとする勢力は、ことごとく、私の魔力量を問題視していた。
私は、魔力量を上げようと、マロンに相談しながら、鍛えていたときだったから、マロンに裏切られたのだと思っていた。」
とソラッドロス王太子殿下。
「ソラッドロス王太子殿下の即位を後押ししているのは、政治的な理由と、側妃が、国母にしないため。
でも。
ソラッドロス王太子殿下と第一王女殿下が、魔法システムを動かすのに失敗して、表舞台からいなくなれば、側妃の子どもが残る。」
とマーゴット。
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