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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

451.志を同じくしていても、味方じゃない?

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ソラッドロス王太子殿下には、シグル・ドレマンに問われても、口を開くことさえままならない様子。

チェール・モンスは、意識はあるが、身じろぎするのも苦しそう。

一方で。
マーゴットとシグル・ドレマンは、会話ができている。

あまりに差がありすぎないか?
とマーゴットは不思議に思った。

チェール・モンスとソラッドロス王太子殿下の様子を見て、不思議がるマーゴットに、ネッド・チリル教授が教えてくれた。
「魔力量の差だ。」

「魔力量の差で、動けない状態になりうる?」
とマーゴット。

「魔力量が多ければ、多いほど、自分自身を守ろうと無意識に魔力を巡らせることがある。
ガランの娘はそれに長けている。
医者は、医者としての経験から、感覚をつかんだのだろう。

床に転がっている方は、魔力がないんだな?

魔力で防御することが出来ないから、ダメージが体に直接影響する。

ソラッドロス王太子殿下の魔力は、ゼロではないので、立っていられるが、呼吸するのが、やっとだろう。
王太子の返事は、期待できない。」
とネッド・チリル教授。

「ソラッドロス王太子殿下に、魔力量を意識させて、自身の防衛本能を目覚めさせることは、可能?」
とマーゴット。

「無意識にできないなら、意識的に、か。」
とシグル・ドレマン。

「意識できるだけの余裕がソラッドロス王太子殿下にあればな。」
とネッド・チリル教授。

「魔力ゼロの方は?外部から魔力を与えて、強制的に防御できるようになる?」
とマーゴット。

「さあてな。小僧は、好き勝手し過ぎだ。ぞんぶんに苦しむといい。」
とネッド・チリル教授。

「シグル・ドレマン。医者としての見解をきかせなさい。本人の魔力量によって防御が左右される状況で、ソラッドロス王太子殿下を会話できる状態にまで引き上げるには?」
とマーゴット。

「魔力量が変わらないままなら、魔力を体の外側に集中する。」
とシグル・ドレマン。

「シグル・ドレマン、医療行為を超えない範囲で、ソラッドロス王太子殿下に魔力を体の外側集中させる状態に持っていける?」
とマーゴット。

「理屈では可能。」
とシグル・ドレマン。

「実践はない?」
とマーゴット。

「ない。」
とシグル・ドレマン。

「試して失敗したせいで廃人にするよりは、無理をさせる方がいい。」
とマーゴット。

マーゴットは、ソラッドロス王太子殿下に話しかけた。

「ソラッドロス王太子殿下。聞いておくことは、他にある?ないなら、終わりにする。」

ソラッドロス王太子殿下は、かすかに眉をひそめた。

マーゴットは、ソラッドロス王太子殿下の意を汲み取った。

「ソラッドロス王太子殿下。
聞いておくことがあるなら、一分間、魔力を体の外側に集中しなさい。

シグル・ドレマン、ソラッドロス王太子殿下の補助を。」
とマーゴット。

「王太子殿下、始めてください。」
とシグル・ドレマン。

一分後。
ソラッドロス王太子殿下はやっと言葉を発することができるようになった。

ソラッドロス王太子殿下が教授に尋ねた内容は、魔法システムについて、ではなかった。

「マロンは、なぜ、私を裏切り、あちらを担いだ?
マロンは、なぜ、私の味方を辞めた?
私の何が、マロンを失望させた?」
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