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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

441.ソラッドロス王太子殿下。『義妹と同い年の少女は、まるで女帝だ。義弟と義妹が、この少女のようであったなら。』

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「チェール・モンス。ネッド・チリル教授について、把握している情報を隠さず答えなさい。」
とマーゴット。

チェール・モンスは、膝を折ったままのソラッドロス王太子殿下を見る。

「殿下。」
とチェール・モンス。

「答えろ、チェール・モンス。」
とソラッドロス王太子殿下。

「はい、殿下。」
とチェール・モンス。

「レッド・チリル教授の居場所は?」
とマーゴット。

「使用人を帯同しない貴族の男子寮の中にいる。」
とチェール・モンス。

「今の状態を維持したまま、ネッド・チリル教授を運び出して、マロン・ニャスター教授に会わせる。

チェール・モンス、シグル・ドレマン。

シグル・ドレマンが担ぐか、シグル・ドレマンの魔法を使うか、シグル・ドレマンが、ネッド・チリル教授を診て判断すること。

ネッド・チリル教授の状態が悪化しないように、ただちに、使用人を帯同しない貴族の男子寮から運び出しなさい。

わたしとソラッドロス王太子殿下は、使用人を帯同しない貴族の男子寮の外に出ておく。」
とマーゴット。

チェール・モンスは、マーゴットを睨んだ。
こんな危ない、凶悪な少女を味方につけようなんて、私はなんと愚かな考えにとらわれていたのか!

「殿下を一人になど!」
とチェール・モンス。

「ソラッドロス王太子殿下が、これだけ騒動のあった場所に単身で乗り込んできたことを周知させるより、二人の教授と話をする方が、糧になる。」
とマーゴット。

「チェール・モンス。シグル・ドレマンと行け。ネッド・チリル教授を安全に連れて、外に出て来るといい。」
とソラッドロス王太子殿下。

マーゴットとの絶対的な力の差を、マーゴットの圧により、強制的に学ばされていたソラッドロス王太子殿下は、悟った。

逆らっては、ならない者がいる。

少女は、政治権力などではなく、その身から溢れ出てくる計り知れない何かで、支配者として君臨している。

逆らうことを許さない絶対的存在であることを自負し、平然と、他人に、飲み込ませることに迷いがなく、それだけの力を備えている少女。

どう育ったら、この少女になる?

まるで女帝。

少女と同い年の義妹とは、かけ離れた存在。

義弟や義妹が、この少女のようであったなら、どれだけ、助けになっただろうか、と、せんないことを考えてしまうソラッドロス王太子殿下。

マーゴットは、ソラッドロス王太子殿下の心情の変化を観察していた。

マーゴットは、ソラッドロス王太子殿下、チェール・モンス、シグル・ドレマンにかけている圧を消す。

「ソラッドロス王太子殿下とわたしは、マロン・ニャスター教授のいる場所の入り口にいる。

わたしを待たさないように、レッド・チリル教授を連れてくること。

二人共、行きなさい。」
とマーゴット。

「チェール・モンス、シグル・ドレマン、行け。」
とソラッドロス王太子殿下。

チェール・モンスは、迷いがなくなったソラッドロス王太子殿下に安心して、階段を降りていく。

シグル・ドレマンは、貴族の礼をすると、チェール・モンスの後を追った。
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