子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

432.マーゴット。鳴かぬなら、鳴かせてみよう、チェール・モンスを。

チェール・モンスは、とてもいい思いつきだと自画自賛した。
「私の呪術をゼロにしたいなら、私の言うことを聞くんだ。」
とチェール・モンス。

チェール・モンスの不幸は、マーゴットの思考を学習しなかったこと。

マーゴットは、ちゃちな脅しに屈する生き方はしていない。
身の程知らずには、学習させるか、消すか。

マーゴットがどこぞの出先で見知らぬ誰かに同じことを言われたのなら、消してしまうところだが。

今、マーゴットがいるのは、マーゴット自身が、学生として在籍しているニンデリー王立学園。

今宵、マーゴットに絡んできた身の程知らずは、ニンデリー王立学園の王太子が、外国から連れてきて、長年、側においている子飼いの学生チェール・モンスときた。

チェール・モンスが、魚と人を元に戻すための呪術をしぶったから、といって、
問答無用で、ぷちっと、消すのは、得策ではない。

鳴かぬなら、鳴かせてみよう、ホトトギス。

「チェール・モンスは、自発的に呪術を解除するより、呪術を解除するように仕向けられる方が、いい仕事ができるタイプ？」
と、マーゴットは単刀直入に聞いた。　

「私に何をする気だ！」
とチェール・モンス。

マーゴットは、シグル・ドレマンをちらっと見た。
シグル・ドレマンは、相変わらず静かだが、意識はどうだろうか。

「王太子殿下に会った後に言動がおかしくなった人がいた。
チェール・モンス、その原因に心当たりはある？」
とマーゴット。

「心当たりなど、あってたまるか！」
とチェール・モンス。
王太子殿下の秘密は、絶対に喋るまい、と口を閉じるチェール・モンス。

チェール・モンスが口をつぐんでも、マーゴットは困らない。

「チェール・モンスは、誰に呪術の存在を教えられた？」
とマーゴット。

「何が言いたい？」
とチェール・モンスは警戒した。

「魔法大国の歴史があるニンデリー王国は、魔法に絶対的な価値を認めている。ニンデリー王国の民は、上から下まで、魔法一色。
呪術は、入り込む余地がない。

チェール・モンスの生い立ちと、今のチェール・モンスの立ち位置を考えると、チェール・モンスに呪術を教えることができる人物は、一人しかいない。」
とマーゴット。

「待て。話すな。その名を出すな！」
とチェール・モンス。

マーゴットは、チェール・モンスの制止を意に介さない。

「ニンデリー王国の王太子殿下。
チェール・モンスは、王太子殿下が外国から連れてきた王太子殿下の子飼い。

チェール・モンスが答えられる質問をする。

今から言うわたしの問いに、答えなさい。

チェール・モンスは、誰の指示で、呪術を使って実験を始めた？

魚と人の実験結果を最も欲しているのは、誰？」
とマーゴット。