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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
428.呼んだ助っ人は、要求が多い。マーゴットは、決めた。繭玉は解体する。霊獣シジミは、遊び足らなかったようで。
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交渉を持ちかけてきたチェール・モンス。
マーゴットは、チェール・モンスの現実を認識する力が低いと判断した。
この期に及んで、交渉が可能だと思えるチェール・モンス。
ぬるま湯に浸ってきて、現実の都合のよい部分しか見えていないのだろう。
学生として、接する分には見逃せるが、今は、相手にする時間が惜しい。
マーゴットには、時間がない。
魚憑きの人と、人の取り憑いた魚の、肉体のカウントダウンは、終盤に差し掛かっている。
カウントダウンが終わるまでに、魚と人に生まれてきた姿を取り戻させる、という目的を成し遂げるために、マーゴットは動いている。
チェール・モンスの思い付きに付き合って、お喋りしている時間は、チェール・モンス以外にはない。
マーゴットは、交渉を持ちかけてきたチェール・モンスに、呪術を解除すると告げた。
「チェール・モンスの暇つぶしに付き合うのは、チェール・モンスの仲間に頼みなさい。」
マーゴットは、シグル・ドレマンと繭玉のどちらの呪術を解除するか、考えた。
シグル・ドレマンは、静かな方がいい。
シグル・ドレマンの呪術を解除するなら、シグル・ドレマンを現場から引き離してからだ。
マーゴットは、繭玉の呪術を解除することにした。
幸いにも、マーゴットは、繭玉の内側にいる。
繭玉の製作者チェール・モンスと同じ位置にいることは、呪術を解除する上で、都合がよい。
繭玉は、内側に製作者がいる。
繭玉を作り上げた、チェール・モンスの呪術の重ね方を製作者の位置から見ることが出来る。
繭玉の内側にいながら、繭玉を構成する呪術を解除することは、マーゴットにとって、算数の問題を手順書を見ながら、解法に従って解くようなもの。
マーゴットは、チェール・モンスが、何かを言い出すのを待たなかった。
「解除。」
とマーゴット。
途端に、バラバラと重ねられていた呪術が、ほどけていく。
チェール・モンスは、急いで、繭玉の再構築を試みた。
再構築できない!
とチェール・モンスは焦る。
チェール・モンスが焦っている間にも、繭玉を作り上げた呪術の解除は止まらない。
チェール・モンスは、最初から、意識して呪術を組み合わせて重ねていったわけではない。
見つかりたくないという心のままに、呪術を重ねていった。
緻密な計算ではなく、無造作に組み上げられた呪術。一度、崩壊始めたものを、元のバランスに戻すのは、製作者のチェール・モンスにも難しかった。
一度、結びつきをほどかれた呪術は、結びつきがなくなるなり、バタバタと霧散していく。
霊獣シジミが、不満げにマーゴットのポケットに帰ってきた。
「まだ、全部楽しんでいないのに。」
マーゴットのポケットの中で、ぶーぶー言っている。
「呪術の迷路で遊びたいなら、お家に帰ってから、頼んで作ってもらうのは?」
マーゴットは、霊獣シジミに提案する。
「同じものを作っても、二番煎じでしょ。初回の喜びは、初回しかないの。シジミちゃん、感動しない遊びは、お呼びじゃないの。」
と霊獣シジミ。
「そうなんだ。」
としか、マーゴットは、答えようがない。
「シジミちゃんは、マーゴットが、シジミちゃんに新しい遊びを提供するのを楽しみにしている。」
と霊獣シジミ。
マーゴットは、チェール・モンスの現実を認識する力が低いと判断した。
この期に及んで、交渉が可能だと思えるチェール・モンス。
ぬるま湯に浸ってきて、現実の都合のよい部分しか見えていないのだろう。
学生として、接する分には見逃せるが、今は、相手にする時間が惜しい。
マーゴットには、時間がない。
魚憑きの人と、人の取り憑いた魚の、肉体のカウントダウンは、終盤に差し掛かっている。
カウントダウンが終わるまでに、魚と人に生まれてきた姿を取り戻させる、という目的を成し遂げるために、マーゴットは動いている。
チェール・モンスの思い付きに付き合って、お喋りしている時間は、チェール・モンス以外にはない。
マーゴットは、交渉を持ちかけてきたチェール・モンスに、呪術を解除すると告げた。
「チェール・モンスの暇つぶしに付き合うのは、チェール・モンスの仲間に頼みなさい。」
マーゴットは、シグル・ドレマンと繭玉のどちらの呪術を解除するか、考えた。
シグル・ドレマンは、静かな方がいい。
シグル・ドレマンの呪術を解除するなら、シグル・ドレマンを現場から引き離してからだ。
マーゴットは、繭玉の呪術を解除することにした。
幸いにも、マーゴットは、繭玉の内側にいる。
繭玉の製作者チェール・モンスと同じ位置にいることは、呪術を解除する上で、都合がよい。
繭玉は、内側に製作者がいる。
繭玉を作り上げた、チェール・モンスの呪術の重ね方を製作者の位置から見ることが出来る。
繭玉の内側にいながら、繭玉を構成する呪術を解除することは、マーゴットにとって、算数の問題を手順書を見ながら、解法に従って解くようなもの。
マーゴットは、チェール・モンスが、何かを言い出すのを待たなかった。
「解除。」
とマーゴット。
途端に、バラバラと重ねられていた呪術が、ほどけていく。
チェール・モンスは、急いで、繭玉の再構築を試みた。
再構築できない!
とチェール・モンスは焦る。
チェール・モンスが焦っている間にも、繭玉を作り上げた呪術の解除は止まらない。
チェール・モンスは、最初から、意識して呪術を組み合わせて重ねていったわけではない。
見つかりたくないという心のままに、呪術を重ねていった。
緻密な計算ではなく、無造作に組み上げられた呪術。一度、崩壊始めたものを、元のバランスに戻すのは、製作者のチェール・モンスにも難しかった。
一度、結びつきをほどかれた呪術は、結びつきがなくなるなり、バタバタと霧散していく。
霊獣シジミが、不満げにマーゴットのポケットに帰ってきた。
「まだ、全部楽しんでいないのに。」
マーゴットのポケットの中で、ぶーぶー言っている。
「呪術の迷路で遊びたいなら、お家に帰ってから、頼んで作ってもらうのは?」
マーゴットは、霊獣シジミに提案する。
「同じものを作っても、二番煎じでしょ。初回の喜びは、初回しかないの。シジミちゃん、感動しない遊びは、お呼びじゃないの。」
と霊獣シジミ。
「そうなんだ。」
としか、マーゴットは、答えようがない。
「シジミちゃんは、マーゴットが、シジミちゃんに新しい遊びを提供するのを楽しみにしている。」
と霊獣シジミ。
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