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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

410.新月の夜。バネッサは、使用人を帯同しない貴族の男子寮の外にいる。バネッサの手には、切れ味自慢の包丁が!

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バネッサは、どこにいても目立つ。

美少女過ぎて、通り過ぎても、振り返らずにはいられない。

それが、バネッサ。

そんなバネッサの見た目を活かす作戦が、今まさに、展開されようとしていた。

新月の真夜中に。

使用人を帯同しない貴族の男子寮の門から中に入った敷地の中。

玄関ホールから、門までの直線上の真ん中に。
横長の長方形のテーブルが、どーんと、置いてある。

テーブルの上に、横一列に並ぶのは。

小さめの生け簀。
ぶ厚めの木のまな板。
包丁数本。
生ゴミ入れ。

テーブルの中央に立つバネッサは。
頭に、白い三角巾をつけて、白い割烹着を着ている。

長方形のテーブルの上は、夜中なのに明るい。

テーブル自体が発光しているのだ。

キャスリーヌのとこの取り扱い商品の一つ。

昼間に光を溜めて、夜中に発光するテーブル。

テーブル自体が、魔導具である。

昼夜に渡るイベントごとに重宝するため、キャスリーヌの家の商会の人気商品になっている。

眩しすぎない明るさを実現したという画期的な商品だ。

テーブルの上に、まな板を置くと、明るさは遮られるが、テーブルの脚や、テーブルの裏側も明るいため、死角がなくて、安心である。

マーゴットとキャスリーヌは、じっとして、喋らなければ、目立たない。

しかし。

本日のマーゴットとキャスリーヌは、大活躍を予定している。

マーゴットとキャスリーヌが、派手に作業している間、使用人を帯同しない貴族の男子寮に住んでいる学生の注意を、学生寮から、違うところに引き付けておくのが、本日のバネッサの役割。

バネッサの活躍している時間。

レベッカ・ショアは、闇に紛れて、不審者を撃退するのがお仕事。

題して。

「出張講座。魚の解剖。
ジュゴン先生の授業を選択していなかったり、途中退室したりして、魚の解剖をまだ見ていない貴方のため。
使用人を帯同しない貴族の男子寮の学生のために、自主的に企画して、臨時開催しています。」
という、てい、でやる。

バネッサは、お団子ヘアにして、髪に血がつかないようにしている。

新月の夜。

使用人を帯同しない貴族の男子寮の建物の外。

トントン、トントンと包丁で刻むような音がしたら?
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