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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

399.キャスリーヌ。ヒイロ・ゼーゼ教授に師事していた研究者の青年が、『魔法の進化』の研究室から離れた理由は?

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「『魔法の進化』の。」
と確認するキャスリーヌ。

「知っているのか?」
と驚く青年。

キャスリーヌは、答えない。

「研究者は、魔法のない世界からの異世界転生者で、今は魔法が使える。

研究者が、今まで、ヒイロ・ゼーゼ教授の『魔法の進化』の研究の素材にされなかったのは、こっちの研究を担ってきたから?」
とキャスリーヌ。

「そうだ。そんなことまで分かっているのか。
全然、秘密じゃないじゃないか。
どういうことだ?」
と、青年の声の後半は、小さくなっていった。

「蛇の道は蛇。
研究者とヒイロ・ゼーゼ教授の関係は?」
とキャスリーヌ。

「専門家かよ。
俺は、元々、ヒイロ・ゼーゼ教授に師事していた。

『魔法の進化』を選択する学生は、他の研究室より、異世界転生者が多くいた。

元々は、異世界転生者の視点を取り入れて、魔法を進化させるのを目的にした研究室だったから。

異世界転生者だと自称するやつもいたし。」
と青年。

「今は、師事していない?なぜ?」
とキャスリーヌ。

「ヒイロ・ゼーゼ教授は、公の場で、王太子に意見して、それが王太子の不興をかった。

ヒイロ・ゼーゼ教授以外にも、不興を買った教授はいる。

ヒイロ・ゼーゼ教授をはじめとして、不興をかった教授は、どの教授も、その教授に師事していた研究室の在籍者を含めて、ニンデリー王立学園の籍を抹消されている。

その後。
ヒイロ・ゼーゼ教授と王太子は、何らかの取引をしたと噂が流れた。

噂の後に、ヒイロ・ゼーゼ教授の研究の仕方と目標が、がらっと変わった。

異世界転生者の視点から、物事を考えるんじゃなくなった。

魔法のない世界からの異世界転生者の成り立ちを調べて、魔力がなかった人間が、魔力を持ち、魔法を使えるようになった過程を調べ始めた。

この世界で生まれ育った魔力なしの人間に魔力を発生させて、魔法を使えることを目指すことになった。

研究のために、異世界転生者だと認めていた学生や在籍者は、全員被験者にされた。

問答無用で、研究対象だ。

逃げ出したやつはいたが、見せしめにされて、痛い痛いと呻きながら、死んでいった。

俺は、怪しまれたが、こっちの研究の話を聞いて、真っ先に手を挙げて、逃げたんだ。」
と青年は青い顔。

「今のところ、研究者は、延命できただけで、逃げられてはいない。

ニンデリー王立学園で、研究者が身柄を拘束されている状況は、変わらない。

箱庭の中で右往左往。

研究成果が出るまでの命。

研究成果が、出なければ、交代。」
とキャスリーヌ。

「逃げられていないとは、考えていなかった。」
と青年は、呟いた。

「異世界転生者の被験者は、見せしめになった人以外は、生きている?」
とキャスリーヌ。

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