子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

384.バレたくない相手に、バレた。失敗をリカバリーするには？バレた相手に対して、何をする？

今、一番、気づかれたくない大人に気づかれていた。

チェール・モンスは、ほぞを噛む。

「俺を魔法でどうにかできるとは思わないが。」
とシグル・ドレマン。

魔力持ちで、魔法を使いこなすシグル・ドレマンは、最初から、魔法を一切使わなかったチェール・モンスについての考察をそのまま口に出した。

「お前は、魔力がないか、あっても使えない。魔法の代わりになる方法を使っている。」
とシグル・ドレマン。

シグル・ドレマンは、ニンデリー王国において、呪術を用いることは一般的ではない、などの常識は、あってないようなもの。

チェール・モンスが、勇気を出して、呪術だと打ち明けても。
『ふーん。呪術か。さっさと、呪術を解いて、俺を動けるようにしろ。』
で終わるのが、シグル・ドレマン。

しかし。
チェール・モンスは、シグル・ドレマンの自分本位さを知らない。

チェール・モンスは焦った。

今は、まだ、人がいない。

でも、もし、誰かに見られたら？

チェール・モンスは、この世の終わりの気分になった。

こんな変な大人。
怖い大人。
何にも気にしない大人。

もし、この大人が、チェール・モンスに呪術を使われたと騒いだら？

チェール・モンスが、使用人を帯同しない貴族の男子寮に出入りするのを咎めないのは、チェール・モンスの背後に王太子殿下がいると知られているから。

暗黙の了解で、出入りを見逃されているだけであって、学園や王家から許可がおりているわけではない。

チェール・モンスが、王太子殿下の権力を背景に、暗黙の了解でしていることを咎めた者はいない。

今まで、チェール・モンスが、王太子殿下の足を引っ張る失敗をおかさなかったから。

今回は？

今回のは、明らかに失敗では？

チェール・モンスは、血の気が引いた。

どうしよう？

どうにかしないと。

失敗を取り返さないと。

やっと、実験の成果が出てきたのに。

チェール・モンスが呪術を使ったことを咎められて、王太子殿下の側からの離されたら？

チェール・モンスが呪術を使用するのを禁止にされたら？

チェール・モンスは、王太子殿下のために、何も出来なくなってしまう。

そんなのは、ダメだ。

それだけは、避けないと。

チェール・モンスは、黙って考えた。

シグル・ドレマンは、チェール・モンスが、返事をしないので、催促のために魔法を使った。

チェール・モンスの体を移動させて、チェール・モンスの顔を正面から見るシグル・ドレマン。

同時に。
「お前は、魔法の代わりに何を使った？」
とシグル・ドレマンは聞いた。

その瞬間。
チェール・モンスの顔は、強張り、チェール・モンスは、シグル・ドレマンに呪術を使った。

シグル・ドレマンは、声を出せなくなった。

声を出せなくなったシグル・ドレマンは、自身の異変に気づくなり、チェール・モンスの体を、天井近くに持ち上げて、落下させた。