子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

380.シグル・ドレマン。『俺を知らない学生だと?何者だ?』チェール・モンス。『私を知らないとは、一体?』

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「どちら様?俺を知らない?」
と驚くシグル・ドレマン。

研究室に通わなくなり、学園の出入りは、使用人を帯同しない貴族の女子寮の往診のみになっていたシグル・ドレマン。

元から社交界で活発に活動していたわけでもなく、学園内では、敬遠されて、交友関係が築けないまま、分家に取って代わられた過去の人。

それが、今のシグル・ドレマン。

チェール・モンスが、シグル・ドレマンを知らないのは、接点がない以上に、チェール・モンスのいる王太子殿下界隈で、話題にのぼらない人物だから。

しかし。
シグル・ドレマンは、今の自分の状況なんぞ意識して動いていない。

シグル・ドレマンが、現役の学生だったとき、シグル・ドレマンを知らない学生はいなかった。

研究室に所属してからも、シグル・ドレマンは、シグル・ドレマンを知らない学生を見たことがなかった。

だから、自分を知らない学生がいることに、シグル・ドレマンは驚いた。

有名人ではなかった、と衝撃を受けるシグル・ドレマンではない。

なんで、俺を知らないんだ?
俺を知らないなんて、お前は、何者だ?
と相手を訝しむのがシグル・ドレマン。

シグル・ドレマンは、自分を知らない学生なんて、普通じゃない、と考えた。

そこで、用心すると、トラブルは減る。

しかし、そこは、シグル・ドレマン。

「俺を知らないなんて、お前は、何者だ?」
とストレートに誰何した。

チェール・モンスは、当惑した。

後ろをついてきた男の返しが予想外過ぎた。

『まさか、俺をしらないなんて、怪しいやつめ。』
と返されるとは。

だけど、怪しいやつレベルでは、チェール・モンスより男の方が圧勝だと、チェール・モンスは思う。

だって、男子寮なのに、男子学生じゃない男が、男子学生を追いかけて歩き回っているんだから。

チェール・モンスは、男に名乗りたくなかった。
チェール・モンスの名前を知ったら、男は、しつこくついてくるんじゃないか、という気がする。

迷惑だ。

「そういうあなたは、何者です。私を知らないなんて。」
チェール・モンスは、相手を真似てみた。

さあ、どうなる?

チェール・モンスは、男の様子をうかがう。
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