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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。
377.チェール・モンス。『たった一瞬の奇跡。ぼくは一生忘れない。15歳まで施設にいても、同じ景色は二度と見れない。だから、決断したんだ。』
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小綺麗な少年とチェール・モンスは、手を繋いで走った。
後から大人が追いかけてくるのが、面白かった。
慌ているに、慌てていないように振る舞うんだ?
小綺麗な少年とチェール・モンスは、手を繋いで、施設の外に一歩踏み出した。
確かに一瞬だった。
一瞬だけ、チェール・モンスは、目にすることが出来た。
耳にすることが出来た。
空気中に色彩が踊り狂う。
無限に広がる色付いた世界。
ふぉん、と音がした後、チェール・モンスの意識は暗転した。
目が覚めたら、小綺麗な少年が怒られていて、チェール・モンスも一緒に怒られた。
怒られるのも、初めて。
誰かと一緒に怒られるのも、初めて。
こんなにおかしいことだった。
チェール・モンスは、怒られながら、楽しくなった。
「ぼく、あの景色をまた見たい。」
チェール・モンスが無邪気こぼしたのは、チェール・モンスの初めての希望。
生活するため、売りを作るため、特技を作るか、特技がないなら、平均的にできるように、と、下を向いて努力を続けてきたチェール・モンス。
「余計なことをしたから、無謀なことを言い出したではありませんか。」
と施設の大人は怒った。
「この子どもは、特技も取り柄も何もない中で、生活する術を身につけている最中だったのに。
夢や希望よりも、地に足のついた生活がどれ程大切か。
何もかもが平均以下の子どもに夢を見せて、責任なんか取れないでしょう?
エゴで、子どもの未来を歪めたのは、どんな気分ですか?
さぞ、いい気分ですよね?
一瞬のためだけに、全部無くして、それでも、平気だっていうんですから。」
施設の大人は、小綺麗な少年に話しているのに、チェール・モンスは、悲しくなった。
施設の大人が、小綺麗な少年に対して話している内容は、全て、チェール・モンスの出来の悪さを語っていたから。
ぼくは、一瞬の煌めきに、夢や希望を持って生きることさえできない?
でも、あの煌めきを見たら、見る前には、戻れない。
ぼくは、あの煌めきを一生諦めて、平均寄りの平均以下として、これからも、ここで暮らす?
暗く悲しい気持ちになって、チェール・モンスは、小綺麗な少年を見た。
小綺麗な少年は、怒っていた。
「大人が、この子どもができるようになるまで、待つことさえしないせいじゃないのか?
この子どもは、どれもこれも平均以下だと言う。
他の子どもが先に出来るようになったから、と、
この子どもの学習を後回しにすることばかりを繰り返せば、この子どもは、いつまで経っても、学習が終わらない。
子どもは、自分で、努力していたが、指導を途中で投げ出された子どもが、一人で努力をしていても、何の手助けもしてこなかったのか。」
と小綺麗な少年。
チェール・モンスは、小綺麗な少年が自分のために怒ったのだと、嬉しくなった。
小綺麗な少年の怒りに、施設の大人は取り合わなかった。
「貴方様がなさったことはなかったことにしません。」
と施設の大人。
小綺麗な少年は、強制送還を宣言されて、大人に囲まれた。
「強制送還?次はいつ会える?」
とチェール・モンス。
「会えません。災難でしたよ。本当に。」
と施設の大人。
会えないなんて、嫌だ!とチェール・モンスは思った。
気づいたら、走って、追いかけて、大人の足の間をすり抜けて、強制送還されそうになっている小綺麗な少年めがけてダイブしていた。
「もう会えないなんて、嫌だ。ぼくは、また、あの景色を見るから、一緒に見ようよ。」
チェール・モンスは、少年に飛びついて、まくしたてた。
「二人とも、見ることはありません。」
施設の大人が冷めた目で、チェール・モンスを呼ぶ。
「戻って、部屋に入り、反省しなさい。」
「もう会えないなら、ぼくは戻らない。ぼくは、あの景色を二人で一緒に見たいんだ。」
チェール・モンスは、小綺麗な少年の体を掴んで離さなかった。
「何も満足に出来ないんだから、こじんまりと身の丈にあった生き方をしなければ、不幸になります。」
施設の大人の言葉に、チェール・モンスは、泣きながら抗った。
「不幸にならない。ぼくは不幸にならない生き方を見つける。」
その時。
「この子どもは、もらい受ける。」
と小綺麗な少年が言った。
小綺麗な少年の服は、チェール・モンスが握りしめたせいで、ぐしゃっとなっている。
「名前は?」
と小綺麗な少年。
「ぼくは、チェール・モンス。」
「返品交換は受け付けていません。」
施設の大人は言った。
チェール・モンスは、小綺麗な少年と、サルバルタルを後にしたのだ。
後から大人が追いかけてくるのが、面白かった。
慌ているに、慌てていないように振る舞うんだ?
小綺麗な少年とチェール・モンスは、手を繋いで、施設の外に一歩踏み出した。
確かに一瞬だった。
一瞬だけ、チェール・モンスは、目にすることが出来た。
耳にすることが出来た。
空気中に色彩が踊り狂う。
無限に広がる色付いた世界。
ふぉん、と音がした後、チェール・モンスの意識は暗転した。
目が覚めたら、小綺麗な少年が怒られていて、チェール・モンスも一緒に怒られた。
怒られるのも、初めて。
誰かと一緒に怒られるのも、初めて。
こんなにおかしいことだった。
チェール・モンスは、怒られながら、楽しくなった。
「ぼく、あの景色をまた見たい。」
チェール・モンスが無邪気こぼしたのは、チェール・モンスの初めての希望。
生活するため、売りを作るため、特技を作るか、特技がないなら、平均的にできるように、と、下を向いて努力を続けてきたチェール・モンス。
「余計なことをしたから、無謀なことを言い出したではありませんか。」
と施設の大人は怒った。
「この子どもは、特技も取り柄も何もない中で、生活する術を身につけている最中だったのに。
夢や希望よりも、地に足のついた生活がどれ程大切か。
何もかもが平均以下の子どもに夢を見せて、責任なんか取れないでしょう?
エゴで、子どもの未来を歪めたのは、どんな気分ですか?
さぞ、いい気分ですよね?
一瞬のためだけに、全部無くして、それでも、平気だっていうんですから。」
施設の大人は、小綺麗な少年に話しているのに、チェール・モンスは、悲しくなった。
施設の大人が、小綺麗な少年に対して話している内容は、全て、チェール・モンスの出来の悪さを語っていたから。
ぼくは、一瞬の煌めきに、夢や希望を持って生きることさえできない?
でも、あの煌めきを見たら、見る前には、戻れない。
ぼくは、あの煌めきを一生諦めて、平均寄りの平均以下として、これからも、ここで暮らす?
暗く悲しい気持ちになって、チェール・モンスは、小綺麗な少年を見た。
小綺麗な少年は、怒っていた。
「大人が、この子どもができるようになるまで、待つことさえしないせいじゃないのか?
この子どもは、どれもこれも平均以下だと言う。
他の子どもが先に出来るようになったから、と、
この子どもの学習を後回しにすることばかりを繰り返せば、この子どもは、いつまで経っても、学習が終わらない。
子どもは、自分で、努力していたが、指導を途中で投げ出された子どもが、一人で努力をしていても、何の手助けもしてこなかったのか。」
と小綺麗な少年。
チェール・モンスは、小綺麗な少年が自分のために怒ったのだと、嬉しくなった。
小綺麗な少年の怒りに、施設の大人は取り合わなかった。
「貴方様がなさったことはなかったことにしません。」
と施設の大人。
小綺麗な少年は、強制送還を宣言されて、大人に囲まれた。
「強制送還?次はいつ会える?」
とチェール・モンス。
「会えません。災難でしたよ。本当に。」
と施設の大人。
会えないなんて、嫌だ!とチェール・モンスは思った。
気づいたら、走って、追いかけて、大人の足の間をすり抜けて、強制送還されそうになっている小綺麗な少年めがけてダイブしていた。
「もう会えないなんて、嫌だ。ぼくは、また、あの景色を見るから、一緒に見ようよ。」
チェール・モンスは、少年に飛びついて、まくしたてた。
「二人とも、見ることはありません。」
施設の大人が冷めた目で、チェール・モンスを呼ぶ。
「戻って、部屋に入り、反省しなさい。」
「もう会えないなら、ぼくは戻らない。ぼくは、あの景色を二人で一緒に見たいんだ。」
チェール・モンスは、小綺麗な少年の体を掴んで離さなかった。
「何も満足に出来ないんだから、こじんまりと身の丈にあった生き方をしなければ、不幸になります。」
施設の大人の言葉に、チェール・モンスは、泣きながら抗った。
「不幸にならない。ぼくは不幸にならない生き方を見つける。」
その時。
「この子どもは、もらい受ける。」
と小綺麗な少年が言った。
小綺麗な少年の服は、チェール・モンスが握りしめたせいで、ぐしゃっとなっている。
「名前は?」
と小綺麗な少年。
「ぼくは、チェール・モンス。」
「返品交換は受け付けていません。」
施設の大人は言った。
チェール・モンスは、小綺麗な少年と、サルバルタルを後にしたのだ。
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