上 下
369 / 776
第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

368.マーゴット・ガラン。『ニンデリー王国の王太子が、何かをしている気がするけど、証拠は一つもない。』

しおりを挟む
さすがに王太子をそいつ呼ばわりはしない?

でも、王太子の身元を知らなければ?

呪術。

シグル・ドレマンにかけられていたニンデリー王国の王太子の呪術は、わたしが解呪した。

急務だったから、シグル・ドレマンの解呪だけで済ませた。
呪い返しは、しなかった。

呪い返しをしないで正解だったか?

呪術に精通している人物が一国の王太子だとすれば、呪い返しの対策も万全。


ミノカサゴが、ニンデリー王国の伯爵令嬢ナユカ・ジョンストンを分析したときの言葉が、わたしの頭をよぎった。

『ナユカ・ジョンストンには、業が絡みついている。』

12歳だか、13歳で、集めた業は、人からもらったもの。

ジョンストン伯爵家の嫡女ナユカ・ジョンストンは、バネッサの兄アレックスと結婚して、バネッサをニンデリー王国の第2王子妃にしたいと言い出した。

バネッサの兄である、オッドア伯爵家の次男アレックス・オッドア。

アレックスは、コーハ王国の貴族でありながら、ニンデリー王国の王太子に心酔し、コーハ王国を裏切った可能性が高い。

そのアレックスとナユカ・ジョンストンの結婚を言い出せる立場にいる人物。

ニンデリー王国の第2王子に婚約者を進めることができる人物。

ニンデリー王国の王太子は、どちらにも当てはまる。

繋がりそうなのに、曖昧。


それと、呪術の方法も引っかかる。

チェール・モンスの母国は、子どもに魔法生物を寄生させるとき、同様の方法を使っている。

魔法生物が寄生しなかった子どもは、魔法生物が剥れ落ちたために、体の一部を切り取られた状態で大きくなる。

チェール・モンスは、耳の一部の肉がない。

だから、わたしとキャスリーヌは一目で、チェール・モンスが、その国の子どもだと気づいた。

チェール・モンスが、関係してくる?

この一件に。

状況は、何かを示唆する。

でも、全て証拠がない。

状況証拠だけでは、決め手にかける。

でも、状況証拠だと見逃していては、後手に回るばかり。

もどかしい。

「呪術者がいるのは知っているが、会ったことはない。」

「なぜ?」

「会ってはならない。顔を見てはならない。語ってはならない。」

五人の男は本気で震え出した。

「呪術者であろう?呪術を使わねば、ただの人。」

わたしは、煽ってみた。

「ただの?ああ。呪術者は、ただの人だ。だが、呪術者に意見したら。」

「ふむ?意見したのは、その方らの同輩か?」

無言。

わたしから、水を向けないと話せないか。

「呪術に使われたか?」

「そうだ。観察するように、と。」

一つ、混乱の芽を芽吹かせるとしよう。

「呪術者は、王太子か?」

「なんと、恐ろしいことを。そんなわけ、あるか!」

「ふむ。王太子の意向を汲んだ実験でもないのか?
呪術を用いる実験を命じながら、呪術に精通していないのか?」

無言。

「その方らは、実験に使われたくないのか?」

「当たり前だ!」

「では、その部屋にある魚の入った水槽を、魚が入った今のまま、手を加えずに、天井だった穴から全て運び出せ。」

「そんなことは。」

「ふむ。魚を寄越さねば、その方らで実験するが、実験されたいのか。」

「止めてくれ。魚は渡す。」

観察させられた同輩の呪術実験の様子は、五人の男の心を折ったようだ。

「魚を寄越すときは、水槽ごとだ。」

わたしは、霊獣シジミがどこかに入っている魚入りの水槽ごと、部屋から持ち出すことに成功した。

霊獣シジミを探すために、手を突っ込む前に、水槽の水を綺麗にしたい。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

処理中です...