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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

367.魔力も魔法もあります。それ以外も。そう、呪術とかね?

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「魚の一部を人間に埋め込み、人間の一部を魚に埋め込む。互いの肉体の一部を触媒にして術を発動させる。」

「切り取り埋め込んだ触媒は、人のも魚のも、どちらも、傷むから、頻繁に取り替えなくてはならない。
何度も繰り返すうちに魂の結びつきが強くなる。」

ということは。
「魔法ではなく、呪術か?」
わたしが聞くと、そうだ、と返事があった。

「では、解呪は?元に戻す方法は?」

「切り出した血肉を元に戻せば。」
と男。

「腐った血肉を?どのように保管して、元に戻した?その方は、解呪もしたのだろう?やり方を実践させるか、まだ話していない者が二人いる。ちょうどよい。」

わたしは、包丁を五本、ゆらゆらさせた。

「解呪は、したことがない。
解呪の予定がなかったから、解呪を試したことはない。
解呪の方法は、知らない。分からない。」
残り二名様のうちの一名が話した。

結局、一言も話していないのは、最初に、話すと声をあげた一人。

最初に声をあげた一人は、最初から、話す気がなかったのかもしれない。

誘導したかっただけ。

ミノカサゴの質問は終わりだけど、わたしは踏み込んで聞こう。

「ふむ。
何人と何匹に試して、どれほどの成果が出た?

まだ話していない一人がいたな。

その部屋には、ちょうど魚もいる。
使用済みの魚と未使用の魚、両方いるな?

話さないなら、その方の体と魂で試すとしよう。

心得がある者が四人もいるなら、失敗すまい。
失敗には、死をもって償わせる。」

五本の包丁を、五人の顔の前で上下させる。

「止めてくれ。私達には出来ない。」
「知らない。私達じゃない。私達は、関係ない。」
「呪術者は、別にいる!」
「呪術を考えたのは、そいつだ。」
「私達は、観察していただけだ!」

と叫ぶ五人。

「ふむ。呪術者は、誰ぞ?」

顔の表皮を切った程度で、大騒ぎすると思ったら、五人の男には、血肉の切り取り耐性がなかったらしい。

包丁も見たことがないのかもしれない。

魚を捌いたり、したことがなければ。

わたしは、どんな状況でも生き延びる訓練として、身につけた。

料理人の下働きになりすますとか、身分を隠しやすいように。

ここに来て、呪術。

呪術といえば。

わたしは思い出す。

最近、一人、解呪した。
シグル・ドレマン。

王太子に言葉で縛られていたシグル・ドレマン。

まさか?
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