子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

310.非戦闘員を退避させたから、気兼ねなく、やっつけようか。

マーゴットは、レベッカ・ショアに質問を試させた。
「ナンシー・ボーンの家族を特別扱いしたくなるのは、理由があるの？」
とレベッカ・ショア。

「ナンシーが、貴族社会に憧れて、あちこちの集まりで喜んでいる姿を見たからな。
哀れな気がして、毎回見るようになった。」
とシグル・ドレマン。

「うん。」
とレベッカ・ショア。

「何回見ても、哀れさは変わらなかった。
俺の印象は第一印象が全てだ。」
とシグル・ドレマン。

「はあ。哀れだと思ったら、やっぱり哀れだった、から、特別扱い？」
とレベッカ・ショア。

「特別扱いするだろう。哀れなんだから。」
とシグル・ドレマン。

「正常化した。」
とマーゴット。

「このやり取りで？」
とレベッカ・ショア。

「王太子に呪術をかけられるほど迂闊なら、私のためにどれだけ働けばいいか分からないな？」
マーゴットは、声に圧を乗せる。

「いや、分からないなんて。」
と気楽に返すシグル・ドレマンに、上下から圧を加える。

「分からない。うん、分からない。」
命の危機を感じ、すぐに前言撤回するシグル・ドレマン。

「女子寮の中に入って、ヒイロ・ゼーゼ教授か、ヒイロ・ゼーゼ教授に近い人物を確保して、外に連れ出しなさい。」
とマーゴット。

「都合よくいるとは、限らない。」
とやる気を見せないシグル・ドレマン。

「実験しているなら、研究室の研究員はいる。
今回、連れ出せないなら、今後、勝手に出歩かないように、体に杭をさしておく。」
とマーゴット。

「体に杭。杭？
お話の中の吸血鬼は、動けないだけだ。
生きた人間に杭を刺しても死ぬ。」
とシグル・ドレマン。

「死ぬんだ。」
繰り返すシグル・ドレマン。

「私達が死ぬより、ずっといい選択。」
とマーゴット。

「なんか知らんが、機嫌悪いのか？探してくるから、拗ねなくていい。」
とシグル・ドレマン。

「拗ねる？」
とマーゴット。

「地味だけど、可愛く着飾れば、可愛くなる。地味だけど。気にするな。友達の方が可愛いのは、地味なんだから、仕方ないんだ。」
とシグル・ドレマン。

ふざけているわけではなく、真剣に話しているシグル・ドレマン。

本当に、どうしてくれようか。

キャスリーヌが、魔導具を取り返しやすいように、派手にいく。

マーゴットは、どこからともなく出した日本刀を構える。

「振動。」
とマーゴット。

日本刀はマーゴットの魔力に馴染み、マーゴットの魔法が発動する。

がたがたと建物が揺れる。

液体入りの瓶を振っている勢いで、揺れている。

建物の外も中も、ヒビなどは入らない。

キャスリーヌは、マーゴット達から離れた。

魔導具を回収しに行くのだ。

振動で、ゆらゆらした後だから、シグル・ドレマンも回収しやすいだろう。

難しい話はしない。

女子寮を普通の女子寮に戻すように話をするだけだ。

了承するまで、帰さないだけだ。

中の人間が動かなくなるであろう時間、建物をゆらゆらさせたマーゴット。

レベッカ・ショアの侍女アーリントン・ポトディと、
カローナ・メートと、
使用人を帯同する貴族の女子寮の職員に、扉を開けさせた。

ボケッと突っ立っているシグル・ドレマンの背中に強風を押し当てる。

「転ぶ、転ぶ、早い早い。」
とシグル・ドレマン。

マーゴットが魔法で起こした風は、シグル・ドレマンの背中を押していき、建物の中にシグル・ドレマンを突っ込んだ。

さて。
戦力外は、避難させた。

バネッサは、剣を構えた。

レベッカは、魔力を練った。

使用人を帯同しない貴族の女子寮の管理を任されている貴族が出てきた。

出てくるのが、早いから、予め、待機していたのだろう。

戦闘服を着た男女が集まってくる。

「ドレマン家の分家？」
とマーゴット。

「分家ではない。」

「女子寮を管理している？」
とマーゴット。

マーゴットは、話しながら日本刀で強風を起こして、吹き飛ばす。

バネッサは、剣術だが、やり辛そうだ。

命を取らないのは、加減が難しい。

レベッカ・ショアは、男女問わず、敵の服の局所周辺を穴開きにしていく。

服を着たままで、用が足せますスタイルになった戦闘員は、一目散に走り去った。

レベッカ・ショアの活躍を見たバネッサは、加減を止めた。

剣は、剣のまま。

魔法を発動して、戦闘員の顔に強風をぶつけていく。

「ぎゃ。」
と戦闘員の顔面が風に負けたところで。

「爆風。」
とバネッサ。

戦闘員は、全員、吹っ飛んでいった。