子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
303 / 800
第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

302.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。帰ってきた侍女アーリントン・ポトディに聞く。『なんで、私に淑女教育をしなかったの?』

しおりを挟む
キャスリーヌは、カローナ・メートをレベッカの部屋から追い出した。

職員に、カローナ・メートの処遇は任せた。

精神的にタフで遠慮が皆無なご令嬢と、四角四面な対応が得意な職員なら、好敵手になるだろう。

聞きたい話は、聞いた。

ナンシー・ボーンがいるという言葉は、ご令嬢から聞けなかった。

キャスリーヌは、ご令嬢な口から、シグル・ドレマンの裏付けとなる情報がほしかったのだが、仕方ない。


これからは。
レベッカ・ショアが、自身の侍女と向き合って話をする時間だ。

カローナ・メートが立ち去った後。

レベッカ・ショアは、侍女の向かいに座った。

「なんで、淑女教育を私にしなかったの?私は、貴族令嬢で、アーリントンは、私の教育全般を任されていたよ?」
とレベッカ・ショア。

「今さら、取り繕っても、誤魔化せないよ。」
とキャスリーヌは、レベッカ・ショアを応援した。

「レベッカ様には、教える必要のないものでした。

使う機会のない淑女教育を、
教える方も、教わる方も、苦しい思いをすると分かっていながら、取り組むぐらいなら、
束の間の自由を楽しんだ方が余程、良い人生でしょう。」
とアーリントン・ポトディ。

「レベッカ・ショアをアーリントン・ポトディの替え玉にしたら、学園に通うことなく、マッドサイエンティストに嫁入りして、表舞台に出てこなくなる。

入れ替える前後で、前の方が良い人物、となると、入れ替わり後の人物が苦労するから、前の状態を悪くしておいたわけではなく?」
とキャスリーヌ。

「そこまで、穿った見方をするなんて。」
とアーリントン・ポトディ。

「要するに、アーリントン・ポトディは、レベッカに淑女教育をする手間を惜しんだ。

アーリントン・ポトディが、面倒だから。

ショア家から金をもらって、仕事をしなかった。

教育係の分も給金が追加されているのに。

レベッカにはいらない、とかなんとか、理由は後づけ。

侍女が、主家のご令嬢の淑女教育を教えるから教えないかの決定権を持っていたとはね。」
とキャスリーヌ。

「レベッカ様は、今は普通のご令嬢のように落ち着かれていますが、私がお会いしたころは、それはそれは酷い有り様でした。

カローナお嬢様との違いに、涙が止まらない程です。」
とアーリントン・ポトディ。

「私が会ったときも、レベッカは、酷かった。

今、アーリントンから見て、レベッカが普通のご令嬢に見えるのは、
レベッカ自身が、己に足りていないものを自覚して、変わろうと努力し続け、周りが根気強く支えたから。」
とキャスリーヌ。

レベッカ・ショアは、うん、と頷く。

「侍女で教育係のアーリントンが、給料泥棒になった挙げ句に、投げ出したから、酷くなったんだよ。」
とキャスリーヌ。

「アーリントンは、一緒にいても、私に情は湧かなかったの?
私をメート家のご令嬢の身代わりにする考えは、最後まで変わらなかったんだよね?
さっきも、メート家のご令嬢の横から動かなかった。」
とレベッカ・ショア。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。

あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。 後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。 その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。 世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。 王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・ ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

思わず呆れる婚約破棄

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある国のとある夜会、その場にて、その国の王子が婚約破棄を言い渡した。 だがしかし、その内容がずさんというか、あまりにもひどいというか……呆れるしかない。 余りにもひどい内容に、思わず誰もが呆れてしまうのであった。 ……ネタバレのような気がする。しかし、良い紹介分が思いつかなかった。 よくあるざまぁ系婚約破棄物ですが、第3者視点よりお送りいたします。

処理中です...