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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

302.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。帰ってきた侍女アーリントン・ポトディに聞く。『なんで、私に淑女教育をしなかったの?』

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キャスリーヌは、カローナ・メートをレベッカの部屋から追い出した。

職員に、カローナ・メートの処遇は任せた。

精神的にタフで遠慮が皆無なご令嬢と、四角四面な対応が得意な職員なら、好敵手になるだろう。

聞きたい話は、聞いた。

ナンシー・ボーンがいるという言葉は、ご令嬢から聞けなかった。

キャスリーヌは、ご令嬢な口から、シグル・ドレマンの裏付けとなる情報がほしかったのだが、仕方ない。


これからは。
レベッカ・ショアが、自身の侍女と向き合って話をする時間だ。

カローナ・メートが立ち去った後。

レベッカ・ショアは、侍女の向かいに座った。

「なんで、淑女教育を私にしなかったの?私は、貴族令嬢で、アーリントンは、私の教育全般を任されていたよ?」
とレベッカ・ショア。

「今さら、取り繕っても、誤魔化せないよ。」
とキャスリーヌは、レベッカ・ショアを応援した。

「レベッカ様には、教える必要のないものでした。

使う機会のない淑女教育を、
教える方も、教わる方も、苦しい思いをすると分かっていながら、取り組むぐらいなら、
束の間の自由を楽しんだ方が余程、良い人生でしょう。」
とアーリントン・ポトディ。

「レベッカ・ショアをアーリントン・ポトディの替え玉にしたら、学園に通うことなく、マッドサイエンティストに嫁入りして、表舞台に出てこなくなる。

入れ替える前後で、前の方が良い人物、となると、入れ替わり後の人物が苦労するから、前の状態を悪くしておいたわけではなく?」
とキャスリーヌ。

「そこまで、穿った見方をするなんて。」
とアーリントン・ポトディ。

「要するに、アーリントン・ポトディは、レベッカに淑女教育をする手間を惜しんだ。

アーリントン・ポトディが、面倒だから。

ショア家から金をもらって、仕事をしなかった。

教育係の分も給金が追加されているのに。

レベッカにはいらない、とかなんとか、理由は後づけ。

侍女が、主家のご令嬢の淑女教育を教えるから教えないかの決定権を持っていたとはね。」
とキャスリーヌ。

「レベッカ様は、今は普通のご令嬢のように落ち着かれていますが、私がお会いしたころは、それはそれは酷い有り様でした。

カローナお嬢様との違いに、涙が止まらない程です。」
とアーリントン・ポトディ。

「私が会ったときも、レベッカは、酷かった。

今、アーリントンから見て、レベッカが普通のご令嬢に見えるのは、
レベッカ自身が、己に足りていないものを自覚して、変わろうと努力し続け、周りが根気強く支えたから。」
とキャスリーヌ。

レベッカ・ショアは、うん、と頷く。

「侍女で教育係のアーリントンが、給料泥棒になった挙げ句に、投げ出したから、酷くなったんだよ。」
とキャスリーヌ。

「アーリントンは、一緒にいても、私に情は湧かなかったの?
私をメート家のご令嬢の身代わりにする考えは、最後まで変わらなかったんだよね?
さっきも、メート家のご令嬢の横から動かなかった。」
とレベッカ・ショア。
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