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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

296.レベッカ・ショアの侍女アーリントン・ポトディの企み。

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キャスリーヌは、情報に見合う対価は、商人として用意する。

しかし、同情では、びた一文出さない。

キャスリーヌは、俯いているご令嬢に扉の外を指さす。
「話さないなら、メート家のご令嬢は、出ていけ。」
とキャスリーヌ。

同時に。
キャスリーヌは、レベッカ・ショアの侍女、アーリントン・ポトディを引き止めた。
「レベッカの侍女は残りなよ。レベッカの侍女なんだから。」

ご令嬢は、縋るように、アーリントン・ポトディを見ている。

「ほら、ご令嬢が、お別れの言葉を待っているよ。

今生の別れになるのかな。

アーリントン・ポトディの給金では払えない金額をショア家は、負担するからね。

メート家は、ご令嬢の無断使用の使用料と迷惑料で、いつ貴族社会からいなくなってもおかしくない。

別れの言葉は、決めた?」
と、キャスリーヌは、アーリントン・ポトディに聞いている。

侍女は、逡巡している。

その様子を見て、ご令嬢は形相が変わった。

「待って。見捨てないで。戻さないで。
私だけ、あんなとこで暮らすのは、もう嫌。
ここで、一緒に暮らすって。
そのために、頑張ってきたんじゃない。」
ご令嬢は、アーリントン・ポトディにすがりついて、体を揺さぶっている。

「レベッカは、ここで侍女と生活しようと頑張って、念願叶って、侍女を取り戻した。目出度い。」
とキャスリーヌ。

「アーリントンは、私の侍女よ。私のために頑張ってくれたの。その子のためじゃない!」
とご令嬢。

「アーリントン・ポトディに聞いてみよう。」
とキャスリーヌ。

「メート家のご令嬢のために何を頑張った?

入寮の書類の特記事項に、メート家のご令嬢の名前とアーリントン・ポトディの名前を書いた結果、どうなった?

メート家のご令嬢は、束の間の夢を体験する代償に、家の身代を危うくするような借金をこしらえて、地獄へ戻るんだよ。

ご令嬢のために頑張った結果だね。

アーリントンは、ご令嬢とは違い、ショア家の傘の下で、安全に過ごすんだよ。

ご令嬢は、今から、1人、身一つで、出ていくんだから。

明暗がはっきり分かれたね。

アーリントンの行いは、ご令嬢への恨み骨髄としか思えないけれど。」
とキャスリーヌ。

ご令嬢の目に、疑念が浮かぶ。

「それは、私のせいではありません。
途中までは、うまくいっていました!
レベッカ様が、戻ってこなければ、なんの問題もなかったのです。」
と侍女。

ここまで、静かに待っていたレベッカ・ショア。

「アーリントンが、私にしてきた仕打ちや、振る舞いと、私の目の前のご令嬢にする振る舞いは、アーリントンにとって、どういう意図があってしてきたのか、私は知りたい。」
とレベッカ・ショア。

「全部、私のためよ。
アーリントンは、私の侍女なのよ?
使用人を帯同しない女子寮に行く羽目になった私を助け出すために、条件に合う娘を探して、ここまで連れてきたの。
私のためよ!」
とご令嬢。

「条件に合う娘をどうするつもりで?」
とキャスリーヌ。

アーリントン・ポトディが話したら、レベッカ・ショアに相手をさせるが、
話し手がご令嬢なので、キャスリーヌが話し相手になっている。

「私と入れ替えるためよ。私をあんな場所から出して、私の代わりにその娘を行かせる。
そのために、アーリントンは、国を出たんだから。」
とご令嬢。

「ご令嬢の台詞を採用して、色々決めてほしいなら、だんまりでいいよ。

アーリントン・ポトディ自身の言葉で語るとしたら?」
とキャスリーヌ。

「カローナお嬢様をお助けするために、国を出ました。
カローナお嬢様が、使用人を帯同しない女子寮に移寮することになって、私は職を失いました。

レベッカ様は、まさに探し求めた人物でした。」
とレベッカ・ショアの侍女は、ご令嬢の話を肯定した。

「私の知っているレベッカ様では、今のような結末を予想できませんでした。」
とアーリントン・ポトディ。

「私がいなくなってから、レベッカ様は、急成長をとげられていて、驚きました。」
とアーリントン・ポトディ。

「最初の計画通りに、カローナお嬢様とレベッカ様を入れ替えるのではなく、 レベッカ様にお助けいただくことを、
ニンデリー王立学園に戻ってきてから、考えましたが、うまくいきませんでした。」
とアーリントン・ポトディ。

「レベッカ様は、私の話す使用人を帯同しない貴族の女子寮の話を世間話だと聞き流していらっしゃいました。」
とアーリントン・ポトディ。

「話題の一つだと聞いていたよ。アーリントンから助けを求められていた、とは当時、思わなかったよ。」
とレベッカ・ショア。

「助け、じゃなく。
都合よく利用できるか、試したけど、失敗した、という意味だから。
レベッカは悪くない。
侍女のアーリントンは、レベッカに罪悪感を覚えさせて、有利に立ち回りたいだけ。」
とキャスリーヌ。
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