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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

294.キャスリーヌ節、炸裂。『踏み倒しはさせない。目的も果たす。』

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忖度しない人、キャスリーヌ。

「アーリントン・ポトディ。誰の侍女なのか、はっきりさせてくれない?

レベッカ・ショアの侍女として、ショア家に雇われ、教育も任されていたのに、12歳まで、レベッカの淑女教育ゼロってどういうこと?

レベッカの侍女の仕事、最初から、する気ないよね?

しかも。
途中でレベッカを置いて、いなくなった。

レベッカの侍女としてショア家から身分を保証されて、給金ももらっているよね?

お隣に座っているお嬢様から、もしくは、お嬢様の家からも、お給金もらっている?

そのお嬢様とアーリントン・ポトディの契約は、どうなっている?

契約を確認しないと。

アーリントン・ポトディが使用した分の無断使用料と迷惑料を、アーリントン・ポトディの資産で払うと、どうなると思う?

アーリントン・ポトディは、一文無しになって、さらに借金を背負うことになるんだよ。

アーリントン・ポトディの侍女の給金じゃ、借金の返済が終わらないから、別のお仕事を斡旋する。

毎日、集中して、稼いで、返済するといいよ。

私は、安物を一切持ってこなかったから。


アーリントン・ポトディとショア家の契約は、確認しているよ。

アーリントン・ポトディとショア家の契約は、今も切れていない。

そっちのご令嬢の無断使用の使用料と迷惑料は、勿論、おうちのメート家に請求する。

ご令嬢は、私がレベッカ用に用意したものを使っているから、最低でも、侍女の金額の10倍は軽くいくよ。

でさ。
アーリントン・ポトディは、誰の侍女か、宣言してくれない?」
とキャスリーヌ。

キャスリーヌの話を聞いたレベッカの侍女と、侍女の隣のお嬢様の空気は、大変重たい。

寮の職員は、キャスリーヌの予想外に鮮やかな喋りにあんぐりしていた。

「レベッカの隣じゃなく、そっちの隣にいるっていうことは、メート家に2人分請求すればいいよね?

支払いは、全額、現金一括払いだから。

普通の貴族なら、身代、傾くけど。

ご令嬢も侍女と一緒に、お金を稼ぐよね?

ご令嬢と侍女の家族も一丸となって。

踏み倒しは、させないから。」
とキャスリーヌ。

レベッカ・ショアの侍女が顔をあげた。

「レベッカ・ショア様です。」
と侍女。

「レベッカは、ここにいるけど、アーリントン・ポトディは、そっちにいる。
何のために、レベッカの名前を言った?

私に分かるように、言ってくれる?」
とキャスリーヌ。

「私は、レベッカ・ショア様の侍女です。」
とレベッカ・ショアの侍女。

「そーなんだ。じゃあ、念書も書いて。」
とキャスリーヌ。

固まるご令嬢。

キャスリーヌの侍女が、さっと紙と筆記用具を用意する。

レベッカ・ショアの侍女は、書こうとしない。

「念書がないと、忘れて、メート家に請求してしまうけど、いいよね?

同じことをした侍女がいるわけだから、許されるよね?」

レベッカ・ショアの侍女は、しぶしぶ、念書を書き始めた。

「三部作るよ。
一部は、私。
一部は、アーリントン・ポトディ。
一部は、寮の職員。」
とキャスリーヌ。

「私ですか?」
と職員。

「寮内の揉め事に、対応したから、職員にとっては、お仕事の記録だよ。」
とキャスリーヌ。

「あ、はい。では、一部。」
と職員。

念書が、三部出来上がると、キャスリーヌと職員とレベッカ・ショアの侍女は、3人で、同時に、文言におかしいところはないか、表記の誤りはないか、を確認して、サインした。

一部ずつ、手元に渡ったタイミングで、キャスリーヌは、職員に軽い調子で話しかけた。

「職員、レベッカ・ショアは侍女がいるよ。

侍女がいないのは、そっちのメート家のご令嬢だよね?

寮の規則では、使用人がいないメート家のご令嬢は、使用人を帯同する寮で暮らせないよね。

今から、メート家のご令嬢だけは、使用人を帯同しない寮に引っ越しだね?」
とキャスリーヌ。


「嫌よ!もう、あそこには戻らない。嫌、嫌、嫌。やっと、出られたのよ。」
と俯いたまま呟きだすご令嬢。

「それだけは!後生ですから。」
とレベッカ・ショアの侍女は、平身低頭。

「使用人を帯同しない貴族の女子寮では、何が起きているか、まずは、話せば?」
とキャスリーヌ。
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