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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

293.レベッカ・ショアの侍女が、レベッカと再会してはじめて、話した台詞は?

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レベッカ・ショアが、部屋に入ったのに気づいて、職員は、廊下から、レベッカ・ショアに警告する。

「レベッカ・ショア様、部屋からすぐに出てください。何度も言いますが、この部屋は、もう、貴女の部屋ではありません。」
と職員。

職員が、レベッカ・ショアに集中している間に、しれっと部屋に入っていくキャスリーヌと4人の侍女。

「大人なのに、何をしているんですか!」
と職員。

「それは、レベッカが職員に言う台詞だよ。」
とキャスリーヌ。 

「規則と契約を無視して、居座るのが、悪いんです。」
と職員。

「部屋の扉は、開けたままにしておくから、聞いておけば?」
とキャスリーヌ。

四角四面なところはあるが、規則遵守なタイプなら巻きこむ方がいい。

権力者の顔色のみで動く前任より、レベッカ・ショアが、やりやすくなる。

「お互い面識ないから、名乗っておくよ。私はキャスリーヌ。侍女が、新入生の少女を残して、出奔してから、面倒を見てきた1人。」

「お友達ですね。」
と職員。

「友達の前に、なんの面倒をみたか?という話をするよ。」
とキャスリーヌ。

「はあ、どうぞ。」
職員は、キャスリーヌの4人の侍女に止める素振りがないので、キャスリーヌが満足するまで話をさせることにした。

「まず、物と現金。」

「次に、教育。」

「最後に、環境。」
とキャスリーヌ。

「レベッカ・ショアの侍女は、レベッカ・ショアに断りなくいなくなったから、レベッカ・ショアは、ある日、突然、1人にされて、苦労したわけよ。」
とキャスリーヌ

「侍女に頼ってきたことを全部自分でしなくちゃいけなくなったから。」
とキャスリーヌ。

「侍女が用意していたものは、侍女が扱うにはいいけど、12歳のレベッカが扱うには、大きすぎたりしたからね。」
とキャスリーヌ。

キャスリーヌは、部屋の中の主人の寝室スペースに入っていった。

「うわ!使用してる!
レベッカのベッドで、レベッカの寝具を使っていたんだね。」

箪笥の引き出しや、クローゼットも、4人の侍女と一緒に、次々に開けて、中身を確認していく。

「新品の下着も、寝間着も使用済みになっています。」

「文房具が、減っています。」

「食材は、ごっそり、なくなっています。」

「調味料も、数が合いません。」

キャスリーヌの4人の侍女は、よく通る声で、きびきび報告していく。

「レベッカの部屋にあるもので、レベッカが持ち込んでいないものは、全部、私が、レベッカに貸しているんだよ。

今、私達が、確認したものの持ち主は、全て、私。

私は、レベッカに貸したけど、他の人には貸していない。
レベッカは、レベッカの使用分の賃料を払う契約を私と結んでいる。

私のものを勝手に使ったんだから、無断使用の迷惑料も併せて、請求する。」
とキャスリーヌ。

レベッカは、キャスリーヌと侍女のやりとりが好きだ。

小気味よくて、楽しい。

「それと、その魔導具も使ったよね?
安くないからね。
全額まとめて、一括現金払いで、回収するから。
返せないとは言わせないから。」
キャスリーヌ。

前に、似たような台詞、キャスリーヌに言われたよ、私も。
レベッカ・ショアは、当時を思い返して、苦笑いした。

「魔導具は、使っていません。」
とレベッカ・ショアの侍女。

再会して、初めての台詞だけど、私を気にかける言葉じゃないんだね。

侍女の隣にいる少女のために、声をあげたんだね。

レベッカ・ショアは、苦しくなりながら、黙って、レベッカ・ショアの侍女とキャスリーヌのやり取りを見守る。

「雑な嘘はいらない。
嘘ついた分だけ、無断使用者に、悪意があることが分かった。
今の発言の分の迷惑料を足して、メート家に請求するよ。」
とキャスリーヌ。

「本当に、使っていません。」
とレベッカ・ショアの侍女。

「隣のご主人は?なんて?」
とキャスリーヌ。

「使っていません。」
か細い声が聞こえた。

「はい、嘘2倍。迷惑料を2倍にする。」
とキャスリーヌ。

「使っていないと、カローナお嬢様はおっしゃっています。」
と食い下がる侍女。

「嘘つきなお嬢様は、どうでもいい。家に請求する。お嬢様のお小遣いで払えるもんでもなし。」
とキャスリーヌ。

「カローナお嬢様を嘘つきなど!」
とレベッカの侍女。

「レベッカ・ショアと毎回確認しているからね。
魔導具が使用されたかどうか?
すぐに、見るだけで、分かるんだよね。」
とキャスリーヌ。
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