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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

279.国と王家に忠誠を捧げてきたが、変わらぬ忠誠を受け取ってもらえなくなった男。職業、組織の頭で医者、シグル・ドレマン。

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「そんな言い方。それじゃ。まるで。」
と医者。

「医者が、貴族として生きていくには、分家に名をあげさせることなく、現状維持させておくこと。」
とマーゴット。

「分家だぞ?本家を出し抜いて、しかも、そんな。」
と絶句する医者。

「現状、分家は名ばかりながら家名を背負うポジション。

医者は、下々に人気だが、権力者から疎まれ遠ざけられている。

分家がぱっとしない間は、下々の反発を抑えるために、医者も医者に従う者も生かされる。

ならば、分家が自身で力をつけた後は?

医者のみならず、医者に従う者は、一掃される。

不穏分子は残さない。」
とマーゴット。

声を出す余裕もなく沈黙する医者。

「お見事でございます。」
と声をあげたのは、切り裂き男。

「感服いたしました。」
と切り裂き男。

「それで?」
とマーゴット。

「私ども一党を配下にお加えください。」
と切り裂き男。

「おい!」
と医者。

「シグル様。我が国の王家の力は絶大です。

ひとたび、王家に睨まれたら、貴族として生きていくことはかないません。

シグル様が、貴族として返り咲きを願ってこられたのは、全員知っています。

これまでは、シグル様の願いを見守るだけで良かったのです。

ですが、王家が分家を使って、積極的にシグル様の排除に乗り出してきた今。

これまで通り、とはいかなくなりました。

シグル様が処刑にでもされた日には、街の住民は暴徒と化し、制圧の後に、多くの命が失われることでしょう。

この街の住民にとっては、シグル様は、永遠に若様です。」
と切り裂き男。

「だが、こいつらは、外国人だ。こいつに忠誠を誓えば、国に仇なすことになる。」
と医者。

「シグル様。残念なことに、国も王家もシグル様の忠誠は、もう必要としていません。分家がそれを叶えています。」
と切り裂き男。

「俺は、貴族として、この国で。」
と言葉を絞り出す医者。

「シグル様が、家の復興を目指せば目指す程、分家は権勢をほこり、反比例して、シグル様の幸先は良くないものとなっていします。」
と切り裂き男。

医者は、黙って聞いている。

「シグル様の守るものは、守ってきたものは、シグル様に従う私達の誇りです。」
と切り裂き男。

医者は、目を開けた。

「シグル様。
シグル様の命を危うくし、シグル様の守ってきたものをなくす未来が来る前に、シグル様の忠誠を捧げる先を選び直していただきたい。」
と切り裂き男。

「シグル様が、国と王家に忠誠を捧げた結果、国と王家に殺されるのは、私達も街の住民も我慢出来ません。」
と切り裂き男。

「どうぞ、ご決断を。」
と話すと、切り裂き男は、頭を下げた。

切り裂き男の後ろに集まっていた男が、次々にひざまずいて、頭を下げていく。
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