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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

258.キャスリーヌ。『正義なんてものは、名乗ったもん勝ち。早い者順だから、一番乗りなら、名乗っておけ。正義という言葉で、人は動くから。』

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診断書を書かないと死ぬよ作戦。

素直に口に出しすぎじゃねーか、キャスリーヌ。
とスラッルス・トークンは思った。

作戦名を聞いた医者は、コイツ馬鹿じゃん、という顔をしてキャスリーヌを見ている。

「ガキが、いきがったところで。」
医者は、最後まで話すことが出来なかった。

キャスリーヌは、目にも止まらぬ早わざで、小太刀を取り出し、医者の耳にピタリとあてた。

「削ぐ?」
とキャスリーヌ。

キャスリーヌは、小太刀を医者の耳の上側からあてている。

返答次第では、そのまま、下に、削ぎ落とすのだろう。

「聞こえなかった?ベリーベリー・イニーの母親の診断書を正義に則って書かないと、削ぐよ?耳。」

キャスリーヌは、話しながら、小太刀を押す。

医者の耳の付け根から、血が流れ出した。

「耳は、1つ落としても、もう1つある。
片方がなくなる間、いい返事を待とう。」
とキャスリーヌ。

「待て。書く。書くから。」
と医者。

キャスリーヌが、脅しでなく、耳を削ぎ落とすタイプだと理解した医者は、診断書を書くことにした。

「診断書は、正義に則って、書くんだ。正義の意味が分かる?」
とキャスリーヌ。

「わ、分かる、いや、分かりません。」
医者は、じりじり刃が進む感触に、慌てて、白旗をあげる。

「診断書を書き終わるのが先か、耳が落ちるのが先か。競争だよ?」
とキャスリーヌ。

キャスリーヌは、診断書の書き方をレクチャーし始めた。
「診断書には、医者として、正確な見立てで書くんだよ。

凶器と凶器を使った人物を記述しようか、事実に基づいて正確に。」

ベリーベリー・イニーの母親の診断書を書いている医者の耳に刃物を食い込ませて、進めながら、並行作業で、診断書の内容チェックをしているキャスリーヌ。

「それにしても。
今いる目撃者は、役に立たない。

目撃情報を話したくなる目撃者はいないかな?

役に立たない目撃者は、いらない。
駆逐してしまう?

そうすると。

目撃者がいなくなる。

困るよね?

協力的な目撃者は、いないかな?

新しく正義に則って、証言してくれる勇気のある目撃者を募集しよう、そうしよう。

きっと、気持ちよく喋るお話好きな目撃者が、集まるよ。」
とキャスリーヌ。


医者の顔色は悪い。

今いる目撃者を消して、目撃者の総入れ替えをすると、キャスリーヌは話している。

だが、目撃者を入れ替えたくらいで、ベリーベリー・イニーの母親を襲撃したナンシー・ボーンの家族を罰することは不可能だ。

ナンシー・ボーンの家族の後ろには、貴族がいる。

ベリーベリー・イニーの自宅と母親が襲撃された事件で。
ナンシー・ボーンの家族の後ろにいる貴族は、ナンシー・ボーンの家族を無罪放免にした。

ナンシー・ボーンの家族の後ろにいる貴族が、ナンシー・ボーンの家族を悪者にしないと決めた。

だから、ナンシー・ボーンの家族は、罰されない。

新しく目撃者を揃えたところで、無駄。

医者は、耳の痛みに、心中で、悲鳴をあげているが、まだまだ、ガキの浅知恵だとあざ笑う。

「ナンシー・ボーンの家族が逮捕されなかったのは、まだ、その家族に使い道があるんだね。その家族の後ろにいる貴族は、誰かなー?知っているなら、話そうよ。正義の話を。」
とキャスリーヌ。

医者は無言。

医者の頭の中は、逼迫している。

お貴族様の知り合いか、本人か、分からないが、ヤバいやつがいる。

どうやって、仲間に知らせるか。

レベッカ・ショアとベリーベリー・イニーは、即席担架を完成させた。

レベッカ・ショアと、ベリーベリー・イニーは、
ベリーベリー・イニーの母親を慎重に、ベッドから担架へ移し終わっている。

「ベリーベリーの母親が大怪我しているのに、こんな建物に運んだのは、誰かな?運び出すの手間だよね。頭が悪いよ。」
とキャスリーヌ。
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