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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

255.ベリーベリー・イニー。家が襲撃された。母さんも。母さんは犯人の顔を見ている。目撃者もいる。なのに。

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心霊スポット、百発百中からの帰路。

キャスリーヌが、
「ベリーベリーの家の魔導具に反応があったから、見たい。」
と言い出して、全員、ベリーベリー・イニーの家へ。

ベリーベリー・イニーは、自宅の有り様に驚いた。

窓ガラスは割られ、扉は壊され、壁には、ヒビが。

驚いて、家の中から出てきたベリーベリー・イニーの母は、賊に襲われた。

賊は、ナンシー・ボーンの家族だと、襲撃された母は、語ってくれた。

ナンシー・ボーンの両親と11歳の弟の3人。

ベリーベリー・イニーが驚くべきことに。

母は、犯人の顔を見ており、目撃者もいた、にも関わらず。

ナンシー・ボーンの家族は、1人も勾留されずに、全員釈放されていた。

ベリーベリー・イニーが家に着いて、家の惨状に目をむいていたとき、ナンシー・ボーンの家族は、ボーン家の自宅で寛いでいた。

ベリーベリー・イニーの母 は、家から出てきたところをナンシー・ボーンの母と弟に殴られて、怪我をし、医者にかかっている。

母が家の外に出て、殴られている間に、ナンシー・ボーンの父は、ベリーベリー・イニーの家に上がりこみ、家探しをしていた。

家の中は、ひっくり返されたり、壊されたりしている。

家の中を片付けても、住める状態に戻すには、時間もお金もかかる状態だ。

そして、母は、何ヶ所も殴打されているため、長期的な治療が必要だと医者が、話してくれた。

身の回りの世話をする人がいないと、当分は生活がし辛い、と。

ベリーベリー・イニーの両親は、田舎の出身で、結婚して都会に住んでいるから、近所に親戚はいない。

親戚に母の世話を頼むとなると、母は、田舎に帰るしかない。
ニンデリー王立学園に通うベリーベリー・イニーは、日中家にいないし、父は、仕事で家にいない。

田舎に帰ったら、母の世話をしてくれる人手は、あるけれど。

近所の人に大怪我を負わされたから、怪我の療養のため、と言って、母を預けても歓迎されない場所だ。

母の親戚は、母が、母を求める男と結婚せずに、父と結婚して、ベリーベリー・イニーを産んだことを、恨めしく思っている。

母の親戚は、母とその男が結婚しなかったために、うだつの上がらない人生となって、母の親戚界隈は、その余波で、全員ぱっとしない人生になったと考えている。

子どものベリーベリー・イニーが、行きたくないような場所に、大事な母を預けたくない。

父は仕事で家にはおらず、予定では、帰ってくるのは3日後。

父が帰って来るまでは、ベリーベリー・イニーが、母を助けなくては。

でも、どこで?

どうやって?

ベリーベリー・イニーが悩んでいることが分かったのか、医者が、親切に助言してくれた。

「ボーンさんが、お母さんの治療と療養に必要な間は、家で預かって、面倒をみてくれる、と申し出てくれていましたよ。

お子さん同士が付き合いあるから、といって、なかなか出来るもんじゃありません。

良い方がいて良かったですね。
さあ、お母さんをひきとってもらいましょう。」

「母さんに怪我を負わせた人の家に、母さんは預けられない。」
と憤るベリーベリー・イニー。

「人の親切をそんな風に言うもんじゃないですよ。

ボーンさんのところに行くなら、ボーンさんの準備ができるまで、預かりましたけど、行かないなら、出ていってもらいましょう。

うちは、治療をするところなんで、住むところじゃありませんから。

考えが変わったら、聞きましょう。

そうでないなら、話しかけないでください。」
医者は、憤慨するベリーベリー・イニーに、背を向けてしまう。

ベリーベリー・イニーの友達は、部外者だから、と医者との話し合いに同席させてもらえなかった。

ベリーベリー・イニーは、母の怪我に動転して、医者に言われた通り、1人で話を聞くことを即決してしまった。

こんなことなら、友達と一緒に、と粘るんだった。

どうしたら、いいか、何も思い浮かばない。

大怪我をさせられ、ベッドに横たわる母を見ているのに、悲しんだり、怒ったりする時間も待ってもらえない。

何を決めたらいいのかも、ベリーベリー・イニーは、だんだん分からなくなってきた。

医者の言う通りにするのが一番マシなんだろうか?

「ベリーベリー。」
「ベリーベリー。」
「ベリーベリー。」
「ベリーベリー。」
「ベリーベリー・イニー。」

途方にくれるベリーベリー・イニーの名を呼ぶ声がする。

声だけで、姿は見えない。

ベリーベリー・イニーが安心できて、強くなれる5人の声。

あたしは、1人じゃなかった。

あたし1人で、分かることなんて、ほんのちょっとだけ。

分からないときは、教えあって、助け合って、助けてもらったら、お礼を言う。

あたし達は、友達だから、それでいい。

ベリーベリー・イニーは、大きく息を吸うと。
腹の底から、大きな声を出した。

「皆。あたしは、1人じゃ、どうしたらいいか、分からない。

でも、今すぐ、あたしが決めないといけない。

母さんに大怪我を負わせたナンシーの家族の家に、母さんを運びたくない。

助けて、今すぐ相談にのって。」
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