上 下
247 / 776
第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

246.『貴族は、益のないことはしない。不利益になることは絶対しない。』『但し、例外はある。』『貴族の面子がかかっている場合は、手を出す。』

しおりを挟む
「平民寮に、いねー可能性はあるかなー?」
とスラッルス・トークン。

「ナンシー・ボーンのいる心当たりがありそうな場所は、全滅。」
とマーゴット。

「学生寮は、男女3つずつあるよなー。使用人を帯同する貴族寮、使用人を帯同しない貴族寮。平民寮。」
とスラッルス・トークン。

「平民寮に、いないのかもしれないわ。
だったら、貴族寮は?
貴族寮は、隠れやすいわよ?
貴族寮なら、出てこなくても、生活に困らないわ。」
とバネッサ。

「貴族寮に、平民は、立ち入り禁止だけど。」
とレベッカ・ショア。

「まさか、いるはずがない、と誰も探さないところに、隠すのは、アリだよ。人も、モノも。」
とキャスリーヌ。

「わたし達は、証拠を掴めていないけれど。
クロッグ・カーブは、
レベッカ・ショアの侍女が、使用人を帯同しない貴様の女子寮に、ご令嬢と過ごしている、と断言したんだったわね。」
とマーゴット。

「何も言わずに、いなくなった。
こちらからは、連絡がとれない。
いなくなった本人からは、身内に連絡が来ない。

レベッカの侍女が出奔した状況と重なるよ。」
とキャスリーヌ。

「状況だけ、見ると、同じ条件が揃っているわ。」
とバネッサ。

「私達には、平民寮に入る伝手がない。
貴族寮から、調べてみる?」
とレベッカ・ショア。

「貴族寮に、私は入れないけれど、お願いしていいかな?」
とベリーベリー・イニー。

キャスリーヌが、待ったをかける。

「ベリーベリー・イニー。貴族寮にいるかもしれないという意味を考えてから、結論を出した方がいいよ。」
とキャスリーヌ。

「どういう意味がある?」
とベリーベリー・イニー。

「ナンシー・ボーンが、貴族寮にいる、ということは、ナンシー・ボーンの所在に、ニンデリー王国の貴族が関わっていることになるわ。」
とバネッサ。

「わたし達以外の貴族、ニンデリー王国の貴族が、ナンシーが家に帰らない理由に関わっている。

これ以上、ナンシー・ボーンの捜索を続けると。

わたし達は、ニンデリー王国の貴族と正面から、やり合いことになる。」
とマーゴット。

「外国に滞在中。滞在先の貴族が、何か、よからぬことをしているのを疑ったとしても。

通りすがりの貴族は、素通りするものよ。

よからぬことをされているのが、自国民や自分に関わる者なら、動くけれど。」
とバネッサ。

「益のないことはしない。不利益になることは絶対しない。
貴族の鉄則。」
とキャスリーヌ。

「捜索は、打ち切り?」
とレベッカ・ショア。

「ベリー・ベリー・イニー。
これから先も、ナンシーの捜索を続けるなら。

ナンシーの両親は、わたし達に相応の見返りを先に出す必要がある。

今日までの謝礼も、ナンシーの両親から、出たものではないわね?

用意したのは、ベリーベリー・イニーの両親。

ナンシーの両親が、自国の貴族にたてつき、貴族を敵にまわしてまで、娘のナンシーを諦めない覚悟がある。

その上で。

捜索するわたし達に。
これまでの謝礼をして。

さらに。

これからの対価を払う準備が整わない限り、わたし達は、ナンシー・ボーンの捜索を再開しない。

ここで、捜索を打ち切るにしても。

ナンシーの両親には、これまでのわたし達5人に対する謝礼を要求するわ。

ナンシー・ボーンの両親に確かめることもある。」
とマーゴット。

「ベリーベリー・イニーだけで決めていい話じゃないよ。

ベリーベリー・イニーは、ベリーベリー・イニーの両親に相談して。

ベリーベリー・イニーと両親の結論が出たら、先に私達に知らせてよ。

その後、ベリーベリー・イニーの両親から、ナンシーの両親に確認することになるけれど。

ここから先は、契約書と誓約書が必要な話になるよ。」
とキャスリーヌ。


突然の重たい話に、言葉を失うベリーベリー・イニー。


「ベリーベリー・イニー。

キャスリーヌの貴族の鉄則には、例外があるわ。
貴族は、面子を守るためには、不利益を承知で動くこともあるのよ。」
とバネッサ。


「帰ったら、父さん母さんに、相談してみる。」
とベリーベリー・イニー。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

悠久の機甲歩兵

竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。 ※現在毎日更新中

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...