子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒

第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

231.男爵令嬢キャスリーヌとパートラン卿の攻防。

マーゴットとキャスリーヌは、スラッルス・トークンが、レベッカをキャッチしたので、安心している。

キャスリーヌが、レベッカを蹴り飛ばした後。

すぐに、パートラン卿は、攻勢に転じた。

レベッカ・ショアに逃げられたなら、目の前の娘を使って、レベッカ・ショアをおびき出せばよい。

最終的に、レベッカ・ショアが、ヒイロ・ゼーゼの手元に転がり込むように、パートラン卿は、段取りを整えるだけ。

経過などは、どうでもよい。

不意をつかれたが、年端のいかない少女の経略に翻弄されるようなパートラン卿ではない。

顎の下に木を突きつけられたまま、蹴りを入れるパートラン卿。

木の枝から手を離し。
間一髪、避けるキャスリーヌ。

キャスリーヌが避けた先に、パートラン卿は、拳を捻り出す。

「子どもが、でかい顔をして。すぐに吠え面をかかせてやる。」
とパートラン卿。

魔法を使うより、純粋な暴力で言うことを聞かせることの方が、容易い。

体が、痛みを、感情は、恐怖を覚えて。

パートラン卿に逆らわなくなる。

「面と向かって、言ってくるって、なかなかないよ。肝がすわっているって、言われない？」
とキャスリーヌ。

「言わせないなあ。」
パートラン卿は、キャスリーヌの顔面目掛けて、拳を振り下ろす。

すいすいと、避けるキャスリーヌ。

避けるキャスリーヌに足払いをかけるパートラン卿。

上下左右に避けるキャスリーヌ。

とん、と跳んで、キャスリーヌは、パートラン卿から距離をとる。

逃がすまいと追いついて、拳をふるうパートラン卿。

移動する都度。
キャスリーヌは、木の枝をくるくる回している。

「パートラン卿って、誰の下についているのか、知りたいんだよね。」
とキャスリーヌ。

キャスリーヌは、避けるときに、木の枝をパートラン卿の体に擦り付けた。

「一緒に連れて行ってやる。レベッカ・ショアと共に。」
とパートラン卿。

パートラン卿は、胴体に服の上から木の枝が触れたくらいで、動きを止めたりしない。

キャスリーヌは、避ける都度、パートラン卿の体に木の枝を擦り付け続ける。

「呼びつけられるのって、性に合わない。」
とキャスリーヌ。

ふいに、キャスリーヌは、空中に跳んで、滞空する。

そのまま、陽気に話しだすキャスリーヌ。

「パートラン卿って、名前、売れてないよね？
最近の人？
それとも、偽名？
それとも、本業は別？」

キャスリーヌの口元が、ふっと緩む。
「人攫いになれているっぽいよね。
やっぱり、暗部？
今日は、誰の命令で動いた？」