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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

230.転生貴族令嬢レベッカ・ショアが狙われたのは、どうして、今日だったの?どうして、魔法遺跡、クークード遺跡の中にいる今だったの?

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レベッカ・ショアは、スラッルス・トークンの言葉がぽんと、頭に乗って、溶け込んでいく気がした。

私が、この世界を拒絶している?

異世界転生したと気付いた時は、驚いた。

驚いたけれど、楽しみだった!

魔法があるかもしれないって。

魔法はあった。

魔法はあったけれど、私の家族は、魔法に夢を持たない人達で。

『いつまでも、非現実な話ばかりしていないで、現実を見つめなさい。』
魔法について話す度に、頭から否定されるから、家族の前では話さなくなっていた。

でも、いつかは、魔法に触れ合いたい、と願っていた。

侍女は、私が魔法の話をしても、怒らなくて、嫌がらなくて。

ああ。
そうだった。

私が、侍女を気に入った理由は、魔法に否定的なことを言わないから。

1人だけ、侍女だけが、魔法を肯定してくれた。

『ニンデリー王立学園なら、魔法を見ることができます。』
侍女が、そう教えてくれた。

『ご家族や、他の人の目につくところでは、魔法の話はできませんが、外国で寮生活なら、心配いりません。』
侍女は、そう言って、レベッカ・ショアを後押ししてくれた。

魔法を学べると期待して、ニンデリー王立学園に来たんだ、そういえば。

いつの間に、そういうの、忘れていた。

『初心忘るべからず。』
と前世の意識。

家にいる間、私に魔力があるかどうか調べることをしなかったのは、家族の方針なんだろうけれど。

なんで、侍女は、ニンデリー王立学園に来ても、調べてくれなかったんだろう?

調べてくれていたら、もっと早くに私は魔法を使っていたのに。

ひょっとしたら、私の家は、魔法を使うとダメな家だったのかな?

私は、魔法を早く知りたい、としか考えてなかったなあ。

私は、自分の家のことをほとんど知らない。

ショア家が、貴族とは分かっているけれど、それ以上の興味が家に向いていなくて。

家のことなんて、1度も自分から気にしたことがなかった。

魔法に関心がないなんて、あり得ないって、ずっと、私は、家族のことを否定していた。

家族だけじゃない。

異世界転生したのに魔法を使わせてくれない!って、この世界に、いらいらしていた。

ずっと、いらいらしているうちに。
『私は、こんなに我慢ばかりしているのに、他の人は我慢なんかしていないのに。我慢している私に、何もしてくれない!』
という思考の癖がついていた。

いつから、かな?

レベッカ・ショアが沈思黙考しているので、スラッルス・トークンは、このままそっとしておくことにした。



スラッルス・トークンは、レベッカ・ショアの話とイーハン教授の話を合わせて、1つの可能性に思い至った。


ヒイロ・ゼーゼ教授が、異世界転生者としてレベッカ・ショアを狙っていたのなら、なぜ今頃になって、レベッカを手元に欲しがったか?という問題だ。

入学してから、半年も時間があった。

アプローチは、何もクークード遺跡の中でなくてもよいし、半年も待つ必要はなかったのではないか?ということだ。

入学後と今のレベッカ・ショアの大きな変化。

生活は、侍女がいなくなり、コーハ王国の貴族と仲良くなったこと。

レベッカ自身の変化は、魔法が使えるようになったこと。

入学してからのレベッカは魔法が使えなかった。

クークード遺跡の中は、魔法を常時発動して過ごす。

クークード遺跡を楽しめる時点で、魔力があり、魔法を使えるという何よりの証明になる。

だから、か。

だから、レベッカ・ショアは、今日、狙われた。

今日、レベッカに魔法が使えることが証明されたから。

待っていたのか?

ヒイロ・ゼーゼ教授は。

月の満ち欠けを待つように。

必ず、その時が来ると。

レベッカが魔法を使えるようになる日を待った。

使えると、分かったから、呼びよせようとした。

もしかして、そうだったりするのか?

ずっと監視されているのか?

レベッカ。
テメエに、魔法を使えるようになったと喜んでいる時間はねー。

何も対策をしないでいたら、マッドサイエンティストの実験に使われて、レベッカは死ぬ。


重い話題過ぎて、俺には、手に余る。
マーゴットとキャスリーヌに相談しよう。

レベッカ次第だけどなー。
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