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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

224.大将、転生貴族スラッルス・トークン。なお、裏の大将と智将は、別にいる模様。

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キャスリーヌは、バネッサとレベッカ、クロッグ・カーブ、パートラン卿のいる場所まで、学生を誘導してきた。

案内ではない。
誘導である。

学生が、自身で闇雲に進むより早く、情報を小出しにしながら、学生の進む方向を完全にコントロールして、行きたい場所に向かわせているキャスリーヌ。

スラッルス・トークンは、思った。

智将だ。
智将がいる。
その名をキャスリーヌ・ベイモン。

「悪者、発見!」
と叫ぶキャスリーヌ。
「悪党、退治。」
と木の枝を構えるマーゴット。

一見すると、地味な、か弱い少女にしか見えないマーゴットとキャスリーヌ。

学生の一団の影の大将と智将が、この2人なんて、一緒にいる学生は気付いていまい。

表の大将は、スラッルス・トークン。

学生が見たのは、大人の男達が、1人の女子学生を捕まえようとしている現場。

「レベッカだよ!あの子はレベッカ!」
とキャスリーヌ。

お前、全部知っていて、タイミングはかって、学生をここに連れてきていないか?
と聞きたいスラッルス・トークン。

「誘拐は、ダメ。」
とマーゴット。

そら、そーだ。
なんで、はかったかのようなタイミングなのかは、今はおいておく。

級友の危機。
しかも、誘拐なんて、絶対ダメなやつ。

「助けねーとな。」
とスラッルス・トークン。

「策は?」
とマーゴット。

マーゴットは、分からないときは相談しろ、1人で立ち止まって悩まなくてもいいというスラッルス・トークンの助言を聞き入れたのか、素直にスラッルス・トークンに聞いてくる。

「捕まる前に、助けたい。捕まったら、助ける時に、苦労するからなー。」
とスラッルス・トークン。

刃物を突きつけられたり、刺さっていたりする身内を盾にとられていると、奪還以前に、戦うのに骨が折れる。

ふっと、過去にとんだ意識を慌てて、現在に戻すスラッルス・トークン。

戦いの最中に、呆けていては、失敗する。

しかし。
スラッルス・トークンが呆けている間に、事態は動いていた。

スラッルス・トークンが、現在に意識を戻すと。

「大将!大将!」
とスラッルス・トークンを呼ぶ声がした。

「どうした?」
とスラッルス・トークン。

「あれ?2人は?」
スラッルス・トークンの近くで、わいわいしていたマーゴットとキャスリーヌがいない。

「大将が、捕まる前に、と話すのを聞いて、飛び出していった。2人とも。」

「突然で、勢いあったし、2人とも細くて小さいから、怪我させまいと、たたらを踏んでいるうちに。」

「あっち。」
学生の指差す方には、スラッルス・トークンから遠ざかっていくマーゴットとキャスリーヌ。

2人の後ろ姿が、めちゃくちゃ嬉しそうに見えるのは、スラッルス・トークンの錯覚だろうか?

カチコミ、わっしょい、している奴にしか、見えねー。

「踏み込む。と小さい方が宣言して、2人共、木の枝持って、突進していった。」
学生からの報告を聞いて、うっかり過去にトリップしていた自分が申し訳なくなるスラッルス・トークン。

「闇雲に追うのもな。」
とスラッルス・トークン。

「どうする?大将。」
と学生。

「主役は、2人にやらせて、周りの大人の男達を1人ずつ、同時に倒そう。あの2人は、止まらない。」
とスラッルス・トークン。

カチコミ、わっしょいしているやつを止める方が怪我をする。

スラッルス・トークンは、大将として、巻き込んだ学生の安全確保に努めることにした。

猟犬の紐を放したなら。
猟犬が獲物をくわえてくるまで待つのが、狩りの作法。

「よし、皆で作戦会議だ。全員を一度に同時に倒すには、どうする?」
と学生。

「倒すって、どの程度?」
と学生。

「気絶させるか、怪我して動けなくするか、だなー。

貴族のご令嬢を誘拐しようとしたんだから、失敗したら、どうなるか。
そのくらいはなー、大人だし、知っているはず。」
とスラッルス・トークン。

「よし!その方針で作戦立てよう。大将。」
と学生。
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