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第6章 可動式魔法遺跡、クークード遺跡の見学ツアーに参加しよう。

217.いつでも、どこでも、誰にでも。忖度しないのが信条です。その名を?

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威勢のよい少女の声が、あたり一帯に響き渡る。

「レベッカ・ショア!
貴方、うちにいくら借金あると思っているの!

総額いくらになるか、分かっているの!

言っとくけどね!

ビタ一文まけないから。

うちから他所に乗り換えるって言うなら!

乗り換える前に!

耳を揃えて!
一括で!
即金で返済させるよ!」

「なに!借金だと?聞いておらんぞ!」
パートラン卿は、難しい顔になった。

「そこの。
パートラン卿といった男。

うちの借金持ちで。
現在、借金増量中で。
年季明けの見込みどころか。
まだ奉公にも出ていない小娘に、どんな用事があるって?

子どもに人気の若い貴族がだって?

どんな仕事をさせるつもりで、レベッカ・ショアに近寄ってきたにしても。

通さなきゃならない、筋ってものが、商売にはあるんだよ?

うちの出資案件をかすめ取るという腹づもりなら、筋を通してからにしてもらおう!

パートラン卿でも、
レベッカ・ショアのショア家でも、
ヒイロ・ゼーゼ個人でも構わない。

借金に利子を含めた満額!
うちがレベッカ・ショアに投資した額を耳を揃えて、現金で、一括返済してからだ!」

少女の威勢のよい声は続く。

「レベッカ・ショア。うちから出ていくというなら、うちがレベッカ・ショアに用立てた一切合切を弁済してからだよ!」

「どちらも、踏み倒しは認めない。
世界全土、どこに逃げられても、取りこぼしはしないよ、うちは!
払えない、も、払わないも、うちの辞書に、取り扱いはない!」

元気いっぱいの少女の声はすれど、姿は見えず。

「誰だ?どこにいる?出てこい!」
とパートラン卿。

バネッサは、元気な声にほっとした。

誰だか分かったからだ。

レベッカ・ショアは、怒涛の如く、借金持ちを宣告されて、ふわふわとしていた意識がシャキッとしてきた。

突然、身に覚えがない借金が降って湧いたら、背筋がぶるっとする。

友達の誰かにお金を借りた記憶なんか、レベッカ・ショアにはない。

それに、もし、レベッカ・ショアが、借金持ちだったとしても。

こんな大人数の前で、暴露するなんて、デリカシーがなさすぎる。

まず、借金なんて、レベッカ・ショアに身に覚えがないものについて、説明してもらわなくては。

「キャスリーヌ!いるのよね?出てきて!借金って何なの?説明して!」

降って湧いた借金問題で、ぐだぐだに茹だっていたレベッカ・ショアの頭は、すっと冷えた。
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